「日々是好日 日記」

東京都江戸川区船堀の鍼灸良導絡・カイロプラクティック「今井治療室」ブログです

 これまでの 動物実験 では、30 % の カロリー制限 が 個体寿命 を 延伸 することが
知られていた。 最近の 研究 から、寿命 が 延伸 する メカニズム は カロリー制限 に
より 糖質 の 摂取量 が減ることで 血中 の ケトン体 が増えることが、認知機能 の 向
上 や 体重 の 減少、ガン細胞 の 増殖抑制、炎症 の 抑制効果 に つながって いること
が分かった。

 断食 でも 血中 の ケトン体 が増え、代謝 の 改善 や 認知機能 が 改善 されることが
知られている。 だが、何日くらいの 断食 をどの 程度 の 頻度 で 実施 すると 健康効
果 が得られるのかは、よく 理解 されていなかった。

 そんな中、オーストリア の グラーツ大学 分子生物科学研究所 の フランク・マデオ
博士らの 研究グループ は 4 週間の 隔日断食 により、37 % のカロリー制限 が 達成で
き、体重減少、脂質代謝 の 改善、血中ケトン体 の 増加 などの 健康効果 が 得られる
ことを 明らかにした。

 60 人の健常の 成人男女 を 30 人 2 群 に分け、実験群 には 隔日絶食 を 指導、対照
群 には 通常食 を 4 週間 摂取 させた 前後 で 体重 や 代謝 マーカー、血中 の アミノ
酸、ケトン体 を 測定した。
 
 その結果、隔日絶食群 の 被験者 は、対照群 に比べて 総摂取カロリー が 平均 37 %
減少、体重 が 平均 3.5 ㌔ 減量( 全体体重 の約 4.5 % 相当 )、脂肪重量 が 平均 2.1
㌔ 減量、筋肉重量 が 平均 1.6 ㌔ 減量、身長 と 体重 から 算出する 体格指数( BMI )
が 平均 1.23 減少 した。

 血中代謝マーカー を検討すると、LDL、VLDLコレステロールが 有意 に減少、多価
不飽和脂肪酸 の 濃度 が 上昇、血中 の アミノ酸 測定では 老化 に関連した メチオニン
の 濃度 が 低下、長寿 に関連した 物質 である ケトン体 の 濃度 が上昇 していた。

 また 検査結果 は 正常範囲 を逸脱していないことから、隔日絶食 により 安全に カ
ロリー制限 できる点が 確認 された。 隔日絶食 では、絶食日 は何も 食べないが 非
絶食日 には 通常食 を 摂取すれば 良いので、特殊な 栄養指導 を 必要としない 簡便性
も 有用な ダイエット法 である点を マデオ博士 は 強調 する。 隔日 に カロリー制限
を 実施 できる 絶食法 の 健康効果 に関してはこれまでに 報告 がなかった。

 隔日絶食 なので、偶数日 に 絶食 し 奇数日に 通常食、あるいは 火曜日、木曜日、
土曜日に 絶食 で 月曜日、水曜日、金曜日、日曜日に 通常食 という パターン でも
健康的 に カロリー制限 が 実施 出来るだろう。

                                                         ( 白澤卓二・お茶の水健康長寿クリニック院長 )

                                          新聞コラム Dr. 白澤  ” 100 歳への道 ” より











 

 グレリン は 胃 から 分泌 される ペプチド ホルモン で、脳下垂体 に 作用 し 成長 ホ
ルモン の 分泌 を 高進、視床下部 に働き 食欲 を 増進 させる 働き が知られている。

 絶食 すると グレリン の 血中濃度 が上昇 し、食事 をすると 低下、肥満者 では グレ
リン の 血中濃度 が低く、痩せ 状態 では 高い ことから グレリン空腹 ホルモン
も 呼ばれている。

 最近 の 脳 研究 で、記憶・学習 に 重要 な 役割 を 果たしている 海馬 にも グレリン
受容体 が 存在 することが分かったが、認知症 における 記憶 障害 に 関しては 関連性
が 明らか ではなかった。

 そんな中、米 テキサス大 ダラス校 の ヘング・ドウ博士( 生物科学 )らの 研究チー
ム は アルツハイマー病 で 蓄積する アミロイド β たんぱく が 海馬 の グレリン 受容
体 に 結合 することにより 記憶 障害 をもたらしていて、グレリン 受容体 を 活性化 す
る 薬剤 が 記憶力 の 回復 に 有効 である 可能性 を 示唆し 話題 を呼んでいる。

 研究 チーム が アルツハイマー病 患者 の 剖検脳 の 海馬 を 調べた 結果、グレリン
受容体 に アミロイド β たんぱく が 結合して、グレリン の 作用 が 海馬 で 阻害 され
ていることが 分かった。

 更に 研究 チーム が 遺伝的 に グレリン 受容体 を 欠損 した マウス を作ると、マウ
ス は 短期 記憶 の 障害 を受け、アルツハイマー病 の モデルマウス に 酷似 した 認知
機能 障害 を呈した。 欠損 マウス では 海馬 で ドーパミン 受容体 の 活性 も 失われ
ていることから グレリン 受容体 と ドーパミン 受容体 が 複合体 を 形成 することによ
り 記憶 の 形成 に 関与 していることが 分かった。

 興味 深い ことに 研究 チーム が アルツハイマー病 の モデル マウス に グレリン
容体 を 活性化 する 物質 と ドーパミン 受容体 を 活性化 する 物質 を 同時 に 投与 す
ると、モデル マウス は 記憶力 が 保持 され、脳 に アミロイド β たんぱく が 蓄積 し
ても 記憶 障害 を 呈しない ことが 分かった。

 これまで 多くの人 が、空腹時 にはよく 記憶 出来るが、食後 は 記憶力 が 低下 する
経験 があったと 思うが、食後 に グレリン の 血中 濃度 が 低下 するために、海馬 の
記憶力 が 低下 していたのかもしれない。

 また、絶食 療法 が 認知 機能 を 改善 する 効果 が 話題 になっているが、絶食 の 効
果 も グレリン が 関与 しているのかもしれない。 記憶力 障害 は 認知症 の 中核 症状
であり、記憶力 を 改善する 薬 の 開発 が 期待 されている。

                                                              (白澤卓二・お茶の水健康長寿クリニック院長)

            新聞コラム Dr. 白澤  ” 100 歳への道 ” より


 アルツハイマー病 については、アポ E 遺伝子 の 一部 のタイプ( 型 )を 保有する
人の 発症リスク が 高い ことが 知られている。 ただ 最近 の研究では、アポ E 遺伝
子 だけでなく 多数の 遺伝子 が 関与 すること、生活習慣 などの 環境要因 が 重要 な
役割 を果たすことも 報告 さている。

 そんな中、認知症遺伝要因 を持っていても、生活習慣 を見直せば 発症リスク を
下げられる との 英 エクセター大 の デビッド・ルウェリン博士 らの 報告 が 話題 を
呼んでいる。  

 研究チーム は 英国在住 の 認知機能 が 正常な 健常高齢者 の 男女 19 万 6383 人
( 平均年齢 64 歳 )を対象に、遺伝要因生活習慣要因認知症発症 との 関連性
を、平均 8 年にわたり 追跡調査 した。

 遺伝要因血液検査 で リスク を 5 段階評価。 一方、生活要因 は 喫煙、定期的
な 運動習慣、健康的な 食生活、適度な アルコール摂取 の 4 項目を アンケート し、
健康的、普通、非健康的 の 3 段階で 評価した。 調査期間中 に1769 人が 認知症
発症 した。

 解析 の結果、遺伝リスク が低く、かつ 健康的 な 生活習慣群 の 発症リスク を「1」
とした場合、遺伝リスク が 低く 非健康的 な 生活習慣群 の 発症リスク は 1.52 だった。

 遺伝リスク が 中程度だと、健康的 な 生活習慣群 の 発症リスク が 1.36 だったのに
対し、非健康的 な 生活習慣群 の 発症リスク は 1.70 。 更に 遺伝リスク が 高いと、
健康的 な 生活習慣群 の 発症リスク は 1.95 、非健康的 な 生活習慣群 の 発症リスク は
2.83 だった。

 ルウェリン博士 は、認知症遺伝要因 があっても 生活習慣 を改善すれば 発症リ
スク を 45 % も 減らせると 推察 する一方、環境 より 遺伝 の方が 発症寄与率 が 高い
点 も 指摘。 遺伝子検査 の重要性 を 強調する。

 いずれにせよ、親 が 認知症 と 診断 されたら 自分自身 の 生活習慣 を見直す 必要
があるだろう。
                                                     (白澤卓二・お茶の水健康長寿クリニック院長)
 
             新聞コラム Dr.白澤  ” 100 歳への道 ” より

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