「日々是好日 日記」

東京都江戸川区船堀の鍼灸良導絡・カイロプラクティック「今井治療室」ブログです

 前章 で、「 EPA:アラキドン酸 = 1 : 1 」にと 書き ました が、「 DHAは
どこへ? 」と 気 に なった 方 も いる かも しれません。
 EPA の 方 が 医学会 で 注目 される のが 早かった ため、DHA より も 研究 が
進んで いるの ですが、ここで 大事 なのは「 EPA, DHA  」と「 アラキドン 酸 」
の バランス です。  
   そして、こと 炎症 に 関しては「 DHA ] の 方が より 抗 炎症 作用 を 持って い
ます。 

   ところで、「 EPA と アラキドン 酸 を 1 : 1 に 」「 EPA , DHA と アラキドン
酸 を バランス よく 」と 言われ ても、どう すれば いいか 困る かも しれ ません。
 ここで、改めて EPA , DHA と アラキドン 酸 は どう いう 脂肪酸 なのか 説明 し
ま しょう。 それには 先ず、脂肪酸 の 種類 に ついて ザックリ 把握 して もらわ
な ければ いけ ません。 

 脂肪酸 は、先ず、
   ◎ 常温 で 固まる 脂 の「 飽和 脂肪酸 」
   ◎ 常温 で 固まら ない 液体 の 油 の「 不飽和 脂肪酸 」

 の 2 つ に 分かれ ます。

 正確 に 言え ば、化学式 上、炭素 の 二重 結合 が あるか 無いか と いう 違い な
の ですが、ややこしい ので「 常温 で 固まる もの 」「 常温 で 液状 の もの 」
が ある と 理解 して もら えれば OK です。
 牛脂 や 豚脂、バター、マーガリン、ココナッツ オイル など に 多く 含ま れる の
が、「 飽和 脂肪酸 」です。

 一方、「 不飽和 脂肪酸 」は、化学式 の 違い から、更に 次の 3 つ に 分かれ
ます。
  ◎ オメガ 3 脂肪酸
  ◎ オメガ 6 脂肪酸
  ◎ オメガ 9 脂肪酸

 
 「 オメガ 3 系 脂肪酸 」の 代表 が、「 EPA 」「 DHA 」と「 α リノレン 酸 」。 
魚油 や エゴマ 油、アマニ 油、チアシード オイル、クルミ などに 多く 含まれ ま
す。

 「 オメガ 6 系 脂肪酸 」の 代表 が、「 リノール 酸 」。 ベニバナ 油( サフラ
ワー 油 )や コーン 油、大豆油、ヒマワリ 油 など、揚げ 油 や サラダ 油 として よ
く 使わ れる 油 に 多く 含まれ ます。

 「 オメガ 9 系 脂肪酸 」の 代表 が、「 オレイン 酸 」。 オリーブ オイル や 品
種 改良 した 一部 の ベニバナ 油 や ヒマワリ 油 などに 多く 含まれ ます。

 オメガ 3 系 の 一つ で ある「 α リノレン 酸 」は 体内 で その 5 % 程度 が EPA や
DHA に 変換 され ます。
 そして、オメガ 6 系 の 一つ で ある「 リノール 酸 」は 体内 で アラキドン 酸 に
変換 され ます。

 つまり、まとめると、こういうことです。
 オメガ 3 系 脂肪酸 は、EPA や DHA に なって 炎症 を 抑える。
 オメガ 6 系 脂肪酸 は、アラキドン 酸 に なって、摂り 過ぎる と 炎症 を 促す。
 オメガ 9 系 脂肪酸 は、3 系 とも 6 系 とも 競合 せず、炎症 に ほぼ 関わら ない。


   医学博士 池谷敏郎 ” 体内の「炎症」を抑えると、病気にならない! ” より




理想は「 EPA : アラキドン酸 = 1 : 1  」
 
EPA や DHA の 働き が 注目 される ように なった のは、「 グリーン ランド に
住む イヌイット は 心疾患 に 罹る 人 が 少ない 」と いう 研究 結果 が きっかけ で
した。 1970 年代 の こと です。

 イヌイット は 野菜 や 魚 を 殆ど 食べず、アザラシ の 肉 を 多く 食べる 生活 を
して います。 農業 に 適さ ない 極寒 の 地 なの で、野菜 や 果物、穀物 の 摂取
が 少ない の です。 にも 関わら ず、普通 の 西欧型 の 食習慣 を 持つ デンマーク
人 に 比べ て、コレステロール、中性 脂肪 の 値 が 低く、動脈 硬化 による 病気 に
罹る 人 が 少ない と いう こと が、デンマーク の 研究者 に より 報告 され ました。

 更に その 理由 を 調べて いく と、血液中 の EPA 濃度 が 高い こと、食事 に 含
まれる EPA や DHA が 多い こと が 分かった の です。 因み に、イヌイット が 主
に 食して いる アザラシ は もっぱら 魚 を 主食 として 育つ ので、その 肉 には 魚
の 油 と 同様 に 多く の EPA , DHA が 含まれて いる の です。

 この 研究 を きっかけ に、色々な ところ で EPA や DHA に 着目 した 研究 が 行
われる よう に なり ました。 
 例え ば 国内 でも、千葉県 の 山間部 と 房総 半島 の 海岸部 を 比較 した ところ、
海岸部 の 魚 を 多く 食べる 地域 では 血液中 の EPA 濃度 が 高く、動脈 硬化 に よ
る 病気 が 少な かった と いう 結果 が 報告 されて います。

 ただ、EPA と DHA が 体 に 良い もの だから と いって、それと 対抗 する アラキ
ドン 酸 が 悪者 と いう わけ では あり ません。 アラキドン 酸 も 摂らな ければ い
け ない 油 です。
 です が、現代 の 私達 の 生活 では、知らず 知らず の うちに アラキドン 酸 の 方
を 多く 摂って いる ので、両者 の バランス が 悪く なって いる の です。
 理想 は、「 EPA : アラキドン 酸 = 1 : 1  」。 アラキドン 酸 の 方 が 多く な
る と、動脈 硬化 が 進み、血管病 が 増える こと が 分かって います。



   医学博士 池谷敏郎 ” 体内の「炎症」を抑えると、病気にならない ” より 
 

「EPA」「DHA」は、炎症 を 終わら せる メディエイター
  炎症 を 抑える もの として、今 注目 を 集め、国 内外 で 盛んに 研究 が 行われて 
いる のが「 EPA( エイコサペンタエン 酸 )」「 DHA( ドコサヘキサエン 酸 )」
です。

 EPA も DHA も、サプリメント にも なって いますし、青魚 の 油 に 多く 含まれる、
体 に 良い 成分 として 有名 です ね。 特に EPA は「 血管 に 良い もの 」、DHA は
「 脳 に 良い もの 」として 覚えて いる 人 が 多い と 思い ます。

 これらが 今、「 炎症 を 抑える メディエイター 」として 再び 注目 を 集めている
のです が、その 事 を 説明 する には、「 アラキドン 酸( AA ) 」との 関係 に 触れ
な ければ いけ ません。

 「 アラキドン 酸 」も、EPA、DHA も「 脂肪酸 」の 一種 です。
 EPA や DHA は 海 にいる 魚 の 油 に 多く 含まれる のに 対して、アラキドン 酸 は
肉 や 卵、植物 など、陸 の 物 から 採れる 油 に 多く 含まれて います。
 脂肪酸 とは、「 脂質 = あぶら 」を 構成 して いる もの。 脂質 は「 太る 」「 健
康 に 悪い 」と いった マイナス の イメージ を 持って いる かも しれ ません が、必要
な 栄養素 の 一つ で、細胞膜 の 構成 成分 に なったり、ホルモン を 作る 材料 に なっ
たり、重要 な 働き を 持って います。


 アラキドン 酸 も、EPA、DHA も 体 に とって 必要 な 脂肪酸 なの ですが、” 別 の チ
ーム ” に 属 する 脂肪酸 です。 そして、アラキドン 酸 と、EPA、DHA  は 細胞 の 表
面 を ” 椅子 取り ゲーム ” の ように 取り 合う 関係 なの です。

 細胞膜 の 主成分 は「 リン 脂質 」で、EPA、DHA も、アラキドン酸 も、リン 脂質
として 細胞膜 に 取り 込まれ ます。 その 際、EPA や DHA を たくさん 摂ると、細胞
膜 に 取り 込まれて いた アラキドン 酸 が 追い 出される の です。

 アラキドン 酸 が 座る ” 椅子 ” が 減る と どう なる か?
 その 細胞 の 性質 が 変わり ます。

 ◎ アラキドン 酸 が たくさん 座って いる 細胞 は 荒々 しく、炎症 が 起こり やす
  くなる
 ◎ EPA や DHA が たくさん 椅子 を 獲得 した 細胞 の ほう は マイルド で 炎症 が
        起こり にくく なる 


の です。 という のは、アラキドン 酸 が 多い 細胞 が 何らか の 刺激 を 受ける と、細
胞膜 から アラキドン 酸 が 外 に 放出 され て、色々な 酵素 の 影響 を 受け ながら、次々
と、炎症 を 引き 起こす メディエイター に 変わって いき ます。

 アラキドン 酸 を 出発点 に、滝 の ように 変換 されて いく こと から、「 アラキドン
酸 カスケード( 小滝 )」と 呼ばれて います。

 一方 で、細胞膜 での 椅子 取り ゲーム で EPA や DHA が 優位 だと、アラキドン 酸 か
ら 作ら れる 起炎性 メディエイター の 量 が 減る の です。 そういう 意味 で、EPA と
DHA を たくさん 摂る ことは 炎症 を 抑える ことに 繋がり ます。

 更に もう 一つ、最近 の 研究 で 分かって きた ことが あります。
 細胞膜 での ” 椅子 取り ゲーム " の 結果、アラキドン 酸 から起炎性 メディエーター
が 作られる のを 邪魔 する だけ では なく、EPA や DHA は、細胞膜 から 飛び 出す と、
色々な 酵素 の 影響 を 受けて、「 レゾルビン 」や「 プロテクチン 」と いった「 炎症
を 終わら せる メディエーター 」に 変換 される ことが 分かって きま した。

 つまり、EPA , DHA は 2つ の 意味 で「 抗 炎症 作用 」を 持って います。
 一つ は、炎症 が 起こる のを 間接的 に 邪魔 する という こと。
 もう 一つ は、直接的 に 炎症 を 終わら せる 力 を 持つ メディエーター に 変わる と
いう こと。

 専門的 な 話 に なり まし たが、「 EPA , DHA は 抗 炎症 作用 を 持つ 」と いう こ
と、「 アラキドン 酸 と 椅子 取り ゲーム を して いる 」と いう ことを 覚えて もら
えれ ば OK です。


   医学博士 池谷敏郎 ” 体内の「炎症」を抑えると、病気にならない ” より
  

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