「日々是好日 日記」

東京都江戸川区船堀の鍼灸良導絡・カイロプラクティック「今井治療室」ブログです

2017年02月

”身体の基本的なエネルギー源は脂質”
 繰り返し触れているように、身体のエネルギー源になってくれるのは糖質、脂質、タンパク質
の3大栄養素ですが、このうちタンパク質は身体を作る役割 の方が遥かに大切です。
基本的には身体は糖質と脂質を2大栄養素として利用しています。

 このうち安静時には糖質を2割脂質を8割 の割合で使っていると言われています。つまり、
身体の基本エネルギー源は脂質 なのです。

 脂質は体脂肪 として脂肪細胞に貯蔵されています。体脂肪の正体は中性脂肪(トリグリセラ
イド)。3個の脂肪酸 と1個のグリセロール からなる物質です。中性脂肪は常に分解されており、
脂肪酸は細胞のミトコンドリア でエネルギーとなり、グリセロールは肝臓 に運ばれて糖新生
糖質に変化 して利用されます。

 さらに脂質はもう一つ重要なエネルギー源に代謝されます。それがケトン体
ケトン体はケトジェニックダイエット のネーミングの元になっている物質であり、身体にとって極め
て有益な機能を秘めています。

 ケトン体 とは、分解された脂肪酸が肝臓 に入って合成される物質で、アセト酢酸、βーヒドロキシ
酪酸アセトン という3つのタイプがあります。このうちβーヒドロキシ酪酸 は化学構造上はケトン体
ではありませんが、酸化還元反応 アセト酢酸 に転換されるため、ケトン体として扱われます。

  肝臓内で作られたアセト酢酸とβーヒドロキシ酪酸は血液中に分泌されて、アセトンは呼気ととも
に体外へ排出されます。このうち目を向けるべきなのはβーヒドロキシ酪酸 です。

 これまで脳の神経細胞は糖質しか利用できないと言われていましたが、現在ではβーヒドロキシ
が「血液脳関門 」を通過して脳の神経細胞のエネルギー源 になっていることがわかっています。
飢餓に近い栄養環境(厳密には糖質の枯渇)では、脳のエネルギー源の30%以上はβーヒドロキシ
酪酸 によって賄われているのです。

  ケトン体 はエネルギー源になる以外にも人体で有益な働きをしています。寿命を延ばす長寿遺伝
のスイッチを入れたり、抗酸化作用 で慢性疾患を防いだりしているのです。
 
 ケトン体のなかでもβーヒドロキシ酪酸 は、長寿遺伝子の一つであるサート3 との関連が注目され
ています。サート3 はカロリーを制限した飢餓状態で活性化 し、慢性疾患の引き金となる酸化ストレ
を抑制して健康寿命 を延ばすと考えられています。

 マウスの実験では、サート3 が活性化していないとβーヒドロキシ酪酸 が作られないことが明らか
になっています。現時点ではβーヒドロキシ酪酸 そのものが寿命の延長に直に関与しているかどう
かはまだわかっていませんが、少なくとも身体がケトン体 を主たるエネルギー源として利用する「
トジェニック
」な状態になっていればサート3 が活性化しており、長寿遺伝子 のスイッチが入ってい
ると思って間違いないでしょう。

 酸化ストレス は慢性疾患の根本原因の一つですが、βーヒドロキシ酪酸 には酸化を防ぐ抗酸化
作用
があります。これはβーヒドロキシ酪酸 に、体内で酸化を抑える抗酸化酵素 であるSOD
カタラーゼ を賦活する働 きがあるためだと考えられています。
                                                                                                               次回に続く
                                                                                         ”慢性病 を根本から治す"  より抜粋

機能性医学とは?
 機能性医学は次のように定義されています。
 「機能性医学 とは、発症メカニズムが複雑である慢性疾患に対し、対症療法に終始するので
はなく、発症原因に着目 しながら、生活習慣にアプローチしてその予防と根本治療 を目指す、
十人十色の個体差を考慮した医学である」

 
”ケトジェニックダイエット”
 ”ケトジェニック” とは「ケトン体の」という意味があり、
 ”ダイエット” とは元来、「食事に対する計画」という意味です。

 慢性疾患を招く旧来の栄養学に基づいた食事の誤りは沢山ありますが、その最たるものは
糖質過多であり、タンパク質 脂質 の摂取を疎かにしている点にあります。
 

 糖質、タンパク質、脂質を3大栄養素と呼び,何れも摂取すると体内でカロリーになります。
糖質とタンパク質はg 4キロカロリー、脂質はg 9キロカロリーの熱量を生み出して、ヒトの
細胞の活動エネルギー を賄っています。

 3大栄養素からどんな割合でカロリーを摂っているかを「エネルギー産生栄養素バランス」と
呼びますが、平均的な日本人は糖質60%脂質25%タンパク質15% の割合で摂取して
います。

 単刀直入に言うと、糖質の過剰摂取 肥満がん心臓病脳卒中認知症 といった慢性
疾患の原因となり、皮膚にシミ を沈着させるなどしてエイジング(老化)を進める結果となります。
理由は血糖値が上がり過ぎる高血糖 が起こるからです。

 糖質には、ご飯・パン・麺類・イモ類などに多いデンプン、甘いお菓子や清涼飲料水などに多
砂糖、果物などに多いブドウ糖や果糖、牛乳・乳製品などに多い乳糖 などがあり、果糖を除
くと、これらの糖質は体内に吸収されるとブドウ糖に分解 されて遣り取りされます。ブドウ糖を
グルコース とも呼びます。

 ブドウ糖は脳の神経細胞心臓を作る心筋筋肉 などが好むエネルギー源 であり、全ての
細胞が常に利用しています。このため血液内のブドウ糖の量は80~100mg/dl になるように
調整されています。血液中のブドウ糖が血糖、その量が血糖値です

  激しい運動時を除くと、食事で摂った糖質が細胞で残らず消費されることはあり得ません。そこ
で消費されずに残った血糖はインスリン の働きで肝臓 筋肉 の細胞にグリコーゲン として蓄え
られます。

 糖質 はエネルギーになり易く、核酸の合成 解毒 などにも関わる人体にとっては無くてはな
らない栄養素です。適度な摂取はは悪いことではありませんが、代謝機能を超える大量かつ
製度 の高い糖質の摂取が慢性疾患の元になっているのです。

 不可欠な栄養素だからこそ、体内には糖質を合成する仕組みがあります。タンパク質を構成す
る  アミノ酸、脂質を構成するグリセロール から、肝臓で糖質を合成 するのです。
これを「糖新生」 と呼びます。

 体内で最も代謝が活発な組織は脳の神経細胞 であり、重さは身体の3% ほどなのに、安静時
代謝するエネルギーの凡そ20%を消費 していると言われています。故に脳の神経細胞はエネ
ルギーになり易い糖質 を好みますが、それ以外にも糖質を大好物としている細胞があります。
それが血液内で酸素を運んでいる赤血球 です。

 赤血球 は全身で20兆~30兆個ほどもありますが、エネルギー源としては糖質 しか利用できま
せん。脂質 をエネルギーにするにはミトコンドリア が必要ですが、赤血球 角膜 などと並び、人
体で殆ど唯一ミトコンドリアを持たない細胞 だからです。

 1時間に脳  が必要とする糖質がg、赤血球 などが必要とする糖質がg。合計gの糖質は最
低限欠かせないのですが、肝臓の糖新生 では丁度1時間にgの糖質を合成しています。タンパ
ク質を構成するアミノ酸には体内では合成できない必須アミノ酸 があり、脂質を構成する脂肪酸
にも体内で合成できない必須脂肪酸 があります。

 それ故に、必須アミノ酸と必須脂肪酸は毎日の食事から摂る他ないのですが、安静時は理論上、
糖質を全く摂取しなくても身体はすぐに機能停止するわけではない のです。
                                                                        次回へ続く     
                                    ”慢性病を根本から治す” より抜粋
 

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