色 は、我々の決断や行動において、重要な役割を果たしている。ここで忘れてならないのは、色が光
から生まれている ことだ。光 が無ければ、当然、色 も存在しない。
全ての色を合わせると白い光 になることを思い出そう。色 と光 は切り離すことが出来ない。だからこそ、
光 ーー実際はあらゆる色の集合体ーー による影響について語ることが重要だと思われる。
光療法
医学の世界で、日光を用いた治療の始まりは、19世紀末にさかのぼる。光が免疫システム を刺激し、
伝染病対策に効果を上げるとわかったことから、初期の日光療法 の技術は大いに発展し、1903年に、
デンマークの医師ニールス・リーベング・フィンセンがノーベル生理学・医学賞 を受賞した。
しかし注意してほしいのは、これは、皮膚 や角膜 に有害な日焼けサロンとは全く違って、使用される
のは、可視光線 に限定されていることだ。
光療法 が正式な医療として認められるまでには長い時間を要した。2005年になってようやく、季節
性鬱 と一部の睡眠障害 に対する有効な治療法として、アメリカで公認されている。朝、網膜の神経節
細胞 を刺激すると、日中のセロトニン からメラトニン への変化が妨げられる。同時に、「 体内時計 」も
リセットされるため、睡眠の段階に応じて夜中に行われていたメラトニンの分泌 が抑制 される。ここか
ら、抗鬱 と食欲調節 の効果が生まれるのだ。
光療法 で、朝に照射を行うと、過食症 や拒食症 などの強迫性の食欲障害 にも効果がある。ある調
査では、拒食症 にかかったティーンエイジャーの治療に、光療法が有効 だとして強く勧めている。更に、
光療法 にはアルコール中毒の禁断症状 を抑える効果もあることが証明されている。
光療法 には益々熱い視線が向けられていて、冬のフィンランドで発症する季節性うつ病 では、今や
その患者の20%が光療法 の治療をうけている。ドイツとスイスでは、光療法 に用いるライトの費用は、
なんと社会保障で払い戻しされるのだ。
科学の進歩によって、メラトニンの調節 については急速に解明が進んでいる。青 と 緑 はメラトニンの
分泌 を妨げるが、赤 は妨げないこともわかった。科学者によれば、これは、「緑」錐体 が、中波長 の光
を最も多く受容するためである。
また、網膜上の第三の光受容体ーー視覚によらない受容体ーーとして発見された「内因性光感受性網
膜神経節細胞」は、凡そ484ナノメートルの波長を受容するが、これは ターコイズ・ブルー(晴れ上がった
空の色)に相当する。結論は「メラトニンを調節するには、晴れた日に空を見よう!」だ。
よく知られていることだが、青い光は網膜の神経節細胞 を活性化させる。この細胞は、脳の中の、メラト
ニンの生成 を妨げる部分に繋がっている。
フランスとスウェーデンニンの共同チームが、これを実生活に応用するため、車のダッシュボードに青い光
をつけて、夜間の運転の様子を観察した。すると、この小さな光には、コーヒー2杯分に匹敵する眠気覚ま
し の効果があることがわかった。この科学的なデータは実に重要である。なにしろ高速道路における死亡
事故の3分の1は居眠り運転 が原因だとわかっているからだ。道路の照明を青 に変えたらどうだろうか?
朝 は、強く冷たい光 を浴びて、目覚める時間だと体に教えよう。日中 は、照明の光が、絶対に太陽光
より強くならないように注意する。逆に夜 は、穏やかで暖かい照明 をふんだんに使うと、暖炉の火に象徴
される夜がよみがえり、守られているような気持になってくる。
こうした光と色の変化が、我々の体に太陽のリズムを守らせ、メラトニンの日々の分泌を調整させるのだ。
次回に続く
”色の力” より抜粋
から生まれている ことだ。光 が無ければ、当然、色 も存在しない。
全ての色を合わせると白い光 になることを思い出そう。色 と光 は切り離すことが出来ない。だからこそ、
光 ーー実際はあらゆる色の集合体ーー による影響について語ることが重要だと思われる。
光療法
医学の世界で、日光を用いた治療の始まりは、19世紀末にさかのぼる。光が免疫システム を刺激し、
伝染病対策に効果を上げるとわかったことから、初期の日光療法 の技術は大いに発展し、1903年に、
デンマークの医師ニールス・リーベング・フィンセンがノーベル生理学・医学賞 を受賞した。
しかし注意してほしいのは、これは、皮膚 や角膜 に有害な日焼けサロンとは全く違って、使用される
のは、可視光線 に限定されていることだ。
光療法 が正式な医療として認められるまでには長い時間を要した。2005年になってようやく、季節
性鬱 と一部の睡眠障害 に対する有効な治療法として、アメリカで公認されている。朝、網膜の神経節
細胞 を刺激すると、日中のセロトニン からメラトニン への変化が妨げられる。同時に、「 体内時計 」も
リセットされるため、睡眠の段階に応じて夜中に行われていたメラトニンの分泌 が抑制 される。ここか
ら、抗鬱 と食欲調節 の効果が生まれるのだ。
光療法 で、朝に照射を行うと、過食症 や拒食症 などの強迫性の食欲障害 にも効果がある。ある調
査では、拒食症 にかかったティーンエイジャーの治療に、光療法が有効 だとして強く勧めている。更に、
光療法 にはアルコール中毒の禁断症状 を抑える効果もあることが証明されている。
光療法 には益々熱い視線が向けられていて、冬のフィンランドで発症する季節性うつ病 では、今や
その患者の20%が光療法 の治療をうけている。ドイツとスイスでは、光療法 に用いるライトの費用は、
なんと社会保障で払い戻しされるのだ。
科学の進歩によって、メラトニンの調節 については急速に解明が進んでいる。青 と 緑 はメラトニンの
分泌 を妨げるが、赤 は妨げないこともわかった。科学者によれば、これは、「緑」錐体 が、中波長 の光
を最も多く受容するためである。
また、網膜上の第三の光受容体ーー視覚によらない受容体ーーとして発見された「内因性光感受性網
膜神経節細胞」は、凡そ484ナノメートルの波長を受容するが、これは ターコイズ・ブルー(晴れ上がった
空の色)に相当する。結論は「メラトニンを調節するには、晴れた日に空を見よう!」だ。
よく知られていることだが、青い光は網膜の神経節細胞 を活性化させる。この細胞は、脳の中の、メラト
ニンの生成 を妨げる部分に繋がっている。
フランスとスウェーデンニンの共同チームが、これを実生活に応用するため、車のダッシュボードに青い光
をつけて、夜間の運転の様子を観察した。すると、この小さな光には、コーヒー2杯分に匹敵する眠気覚ま
し の効果があることがわかった。この科学的なデータは実に重要である。なにしろ高速道路における死亡
事故の3分の1は居眠り運転 が原因だとわかっているからだ。道路の照明を青 に変えたらどうだろうか?
朝 は、強く冷たい光 を浴びて、目覚める時間だと体に教えよう。日中 は、照明の光が、絶対に太陽光
より強くならないように注意する。逆に夜 は、穏やかで暖かい照明 をふんだんに使うと、暖炉の火に象徴
される夜がよみがえり、守られているような気持になってくる。
こうした光と色の変化が、我々の体に太陽のリズムを守らせ、メラトニンの日々の分泌を調整させるのだ。
次回に続く
”色の力” より抜粋