「日々是好日 日記」

東京都江戸川区船堀の鍼灸良導絡・カイロプラクティック「今井治療室」ブログです

2018年10月

に共通する要素
 は、全身の全ての器官の司令塔です。
 が機能しないと、他の器官も機能しなくなることから、「 進化の過程で最初にできたのは
」 だと思いがちです。

 しかし、の成り立ちを 脳神経 から見ていくと、実は 感覚器 の方が先で、それから
作られたことがわかります。

 人間に限らず 脊椎動物 ( 背骨を持つ動物 ) は、みな 兄弟 です。

 脊椎動物の の部分には、共通して 「 」 と 「 」 と 「 」 と 「 」 を含む 「 」 が
あります。 消化管 の入り口ですが、他の器官は全て 感覚器 です。 これらのパーツ
が揃っていると、私たちは 「 」 と認識します。

 犬でも猫でも 「 」 とわかりますし、象のように が長くても 「 」 だとわかります。 つま
り、目と鼻と耳と口 がある 脊椎動物 に共通する要素であり、それが をつくる要因に
なったことを物語っています。

 以外の場所に 目も鼻も耳も口 もありませんから、感覚器 のある特別な場所といえ
ます。

は刺激に対応する
 実際に、進化の過程を大雑把に見ると、から下の が繋がっている部分の一番前方に、
まず 目と鼻と耳と口 ができました。 もともと は 「 消化管の入り口 」 としてあったために、
そこに  覚器 が加わったことになります。

 の前方に 感覚器 を集めたことで、中枢神経系 の前方の端に、感覚器 からの情報を受け
取る場所ができました。 感覚 の刺激が入ってくるので、その情報を処理するために 中枢神経
の前方部が膨らみ始めます。 ーーー これが です。

 つまり、は体の前方に 感覚器 を集めたことで、その情報を処理するために生まれたと考え
られるのです。

 私たちの は、刺激を受けると、それに対応するために発達します。 生まれたばかりの
ちゃ
も、周りからの様々な刺激により、を成長させます。 実際に、を閉じて育てた
は、途中で を開いても、もはや物を見ることはできません。 それは、視覚 を発達させ
る部分が成長しないからです。

 感覚 の刺激を受ければ受けるほど、体の前方部分が大きくなって になるわけです。 それ
が、私たちの の由来です。

人間には魚の エラ の名残がある
 私たちの体に を作った要因は、感覚器 だけではありません。 もう一つ、エラ の存在も大き
な要因になっています。

 六億年 以上も時間を遡りましょう。

 私たちの祖先は のような形をして、水の中を泳いでいました。 その体が、六億年 という時
間をかけて、人間 の体に進化してきました。 魚の時代に ヒレ だった部分が、やがて私たちの
手足 になります。

 それでは、呼吸 のために使っていた エラ は、一体何に変わったのでっしょう。

 人間の 胎児 は、ごく初期には 五ミリ くらいの大きさしかありません。 その姿をよく見ると、
と首 のあたり、ちょうど ノド に当たる部分に 団子 のようなものが並んでいます。 この形は 人間
だけではなく、の胎児にも見られます。
 この 団子 のようなものが成長すると、の場合は エラ になるのです。

 つまり、人間 の胎児の ノド の当たりにある団子は、もともと エラ になるべきものだったのです。

 ところが人間の場合は、エラ として使っていたものを、進化の過程で別の用途に転用しました。

 エラ の部分には、神経 血管 が通っています。 その エラ に行くはずだった 神経 を、私たち
脳神経 の一部として使っているのです。
 
 からは、12本の 脳神経 が出ています。 そのうちの3本は、感覚器 である 目と鼻と耳 に行
っています。 残りの9本のうち、5本が エラ に行くはずだった神経です。 顔面神経 三叉神経
舌咽神経迷走神経、迷走神経の付属である 副神経 です。
 残りの4本のうちの3本は、眼球 を動かす神経で、1本は を動かす神経と、全てが 頭と顔
集まっています。

 つまり、脳神経 は、を育てた 感覚器 に行く神経と、エラ に行くはずだった神経、あとはもとも
と備わっていた 筋肉 を動かす神経で構成されているわけです。
 
 このように 脳神経 を見ると、感覚器 エラ ができているという 人間の歴史 がわかるの
です。

                                                                       坂井建雄 著 ” 面白くて眠れなくなる人体 ”  より  


 

リンパ を翻訳すると?
 リンパ という言葉は、ラテン語で 「 清水の流れ 」 を意味します。 リンパ という言葉は古代
ローマの時代から使われていましたが、「 リンパ管 」 が発見され広く知られるようになったの
は、十七世紀半ばのデンマークの医師 トーマス・バルトリン によります。

 日本では [ 解体新書 ] に初めて登場しますが、当時は 「 ワアテルハッテン 」 といい、「
」 と訳していました。
 何故 「 リンパ 」 が 「 水道 」 なのでしょうか?

 血液 は、毛細血管 を介して 動脈 静脈 が繋がり体内を循環しています。 毛細血管 では
物質交換が行われるため、血液成分の一部の液体 ) が少し漏れて、また少し が戻る
ということが起こっているのです。

 心臓 から勢いよく出た 血液 は、徐々にスピードが減速し、血圧 も下がりながら 毛細血管
入り口にたどり着きます。 ここではまだ 血圧 が高く、その圧力で が出ていきます。 
 その出ていった 毛細血管 の下流のほうで回収するわけですが、これは タンパク 質
濃度差 を利用して行われています。

 物質に 濃度差 がある時は、濃度の低い方から高い方に物質が移動します。 これを 「 浸透
」 といいます。 漬物 を作る時、キュウリに をまぶすと余分な水分が抜けて美味しく漬か
るのも 「 浸透圧 」 を利用したものです。

 血液 の中には タンパク質 がありますが、血管 の外には タンパク質 がありません。 そこで、
管壁 を隔てて、濃度の高い血管内に を引き寄せる力が働くわけです。 普通は 塩水 など
電解質イオン ) を 浸透圧 といいますが、この場合は タンパク質 という 巨大分子 浸透
なので 「 膠質浸透圧 」 といいます。

 こうして、出た の量だけ戻ってきてバランスがとれれば 「 めでたしめでたし 」 なのですが、
実は出たっきりで戻ってこない があるのです。 その量は、血液量 の約 2000分の1。 
 迷子 になった が向かう先 ーーー それが リンパ管 です。 毛細血管 から溢れた を、別
途回収 して静脈 に戻すのが リンパ管 の仕事です。

 リンパ管 が 「 水道 」 と訳されたのは、こうした働きに由来しているのですね。

浮腫む のは何故?
 長時間立ち続けたり、椅子に座ったままでいると、浮腫ことがあります。 特に 女性
足が浮腫んでブーツのファスナーが締まらない 」 という経験があるのではないでしょうか。

  どうして 浮腫 のでしょうか?
 
 運動 が少なくて立ちっぱなしでいると、筋肉 の力で 静脈血 を押し上げることが出来なくなり、
はなかなか 心臓 に戻れません。 そうすると、毛細血管 に大きな圧力がかかって が漏れて
しまうのです。

 これを リンパ管 が回収するわけですが、リンパ管 静脈 のような仕組みをしています。 リンパ
は平べったい形をしており、内壁 には が付いています。 体を動かすと、筋肉 の動きによっ
リンパ管 が押されたり広がったりして リンパ液 が流れていきます。 そのため、身体を動かさな
いで いると リンパ液 静脈血 と一緒に流れが滞ってしまいます。

 こうして戻れなくなった が溜まり、浮腫でしまうわけです。 しかし、足を動かしたり歩いたり
すると、リンパ液 が血管の中にどんどん回収されていくので、浮腫は解消されます。

 男性に比べて 女性 浮腫が多いのは、血液中の タンパク質 の量が男性よりも少ないからで
す。 つまり、血管の 膠質浸透圧 の力が弱いからで、リンパ管 というより 静脈 の問題なのです。

 同じようなことが 栄養失調 でも起こります。 飢餓 に苦しむ 発展途上国 の子供たちは、栄養失
調 お腹 が大きく膨らんでいます。 これも タンパク質不足 のために、膠質浸透圧 が低下して、
回収できなくなった お腹 に溜まっていることが原因です。

リンパ管 にとって 免疫 はついでの仕事
 もし リンパ管 がなかったら、漏れた が戻れなくなり、浮腫 でしまいます。 がん の手術を
して脇の下の リンパ節 を切除すると、リンパ管 が詰まって腕がパンパンに膨れる リンパ浮腫 とい
う症状が現われます。

 多くの人は リンパ管 免疫器官 だと思っていることでしょう。 しかし、これまで記してきたように、
本来は 毛細血管 から漏れた を回収する受け皿であり、循環器 の一部なのです。 しかし、” た
またま ” リンパ節 免疫細胞 が集まっていることから、免疫系 の拠点にもなっています。

 血管でいうところの 「毛細血管」 と同じ様に、リンパ管 には幹から枝分かれした 「毛細リンパ管
があります。 リンパ管 の末端は オープン になっているため、水分 だけではなく 異物 でも何でも
取り込んでしまいます。 この状態のままで 静脈 に戻すのは大変に危険です。 そこで、リンパ管
の所々に リンパ節 という フィルター を置き、そこで処理して無害なものにしてから 静脈 に戻して
いるのです。

 何でも取り込んでしまう リンパ管 は、外敵 異物 にとって絶好の標的になります。 その対策
として、リンパ節 免疫細胞 を集めて、を迎え撃つのです。 免疫細胞 には リンパ球 などが
あり、細菌ウイルス と戦っています。

 こうして、リンパ節 防衛 の砦としての役目を担うことになりました。

 しかし、リンパ管 が運んでいるのは、余り物 異物 だけではありません。 で吸収した 栄養
のうち、ブドウ糖 アミノ酸 のような分子の小さいものは 毛細血管 に入れますが、中には入
れないものもあるのです。 それが 脂肪 です。 脂肪 リンパ管 に入り、リンパ管 を通って 静脈
に戻っています。

リンパ節 が腫れるのは?
 リンパ節 のある場所は、から突き出た 付け根 です。 が突き出ているから付け根の
が突き出ているから付け根の 脇の下が突き出ているから付け根の 鼠径部 に存在してい
ます。 触ると 硬くてグリグリ するのでわかると思います。 私達の全身には、約800個 リンパ
があるのです。

 これらの場所は、リンパ液 が戻ってくる途中の 関所 のようなものです。 防衛部隊である 免疫
細胞
を集めることで不審者を チェック して、悪者 と判明すると撃退して侵入を食い止めています。

 つまり、リンパ節 が腫れて 痛みや熱 がある時は、何らかの 病原体 が侵入し、リンパ球 たちが
戦っている証拠です。 そして、戦いが終わった後は、マクロファージ などの 貪食細胞 病原体
の残骸
を食べて綺麗にしてくれるのです。 貪食細胞 とは、その名の通り 異物 を見つけると 食い
殺し
たり、分解 したりして処理する 掃除屋 のような 細胞 です。

 リンパ管 動脈 沿いに走っており、内臓 の近くにも連綿と存在しています。 内臓領域 リン
パ節
が必要なのは、内臓 外界 と接しているからです。 呼吸 することで 呼吸器 には チリや
細菌
ウイルス が侵入しますし、食事をすれば 食物 と一緒に 消化器 にも 病原体 が侵入します。
その防衛 のために、リンパ節 内臓領域 にも備わっているのです。

 そのため、ご遺体 を解剖すると、殆んどの人の の周囲の リンパ節 真っ黒 になっています。 
外界 から吸い込んだ チリや排ガス などが リンパ節 に集まっているからです。

                                                                 坂井建雄 著 ” 面白くて眠れなくなる人体 ” より






 

↑このページのトップヘ