体内の食物が腐らない理由
真夏に 生ゴミ を外に放置しておくと、腐って強烈な 臭い を発しますね。
私たちの 体温 は、36 ~ 37℃ です。 これは 体表 の温度ですから、体内 の温度は更に 1℃
くらい高くなります。 まさに 猛暑日 と同じ状態です。 それにもかかわらず、食べたものが体内で
腐敗しないのはどうしてでしょう?
食物 は、まず 食道 から 胃 に入ります。 胃 の粘膜からは、胃酸 と 消化酵素 が分泌されてい
ます。 多くの人が 「 胃で消化吸収を行っている 」 と思っていますが、そうではありません。 食物
の タンパク質 をぶつ切りにすることは出来ても、胃 の粘膜で吸収できる程に細かくなるわけでは
ありません。
タンパク質 を アミノ酸 にまで分解して、粘膜 から吸収できるようにするのは、膵臓 から分泌され
る 膵液 や、腸 の粘膜から分泌される 腸液 に含まれる 消化酵素 の働きです。 したがって、胃 の
粘膜から分泌される 胃液 や 消化酵素 が無くても、消化 や 吸収 は出来るのです。
それでは、胃 は何のためにあるのでしょう?
その答えは、胃 を切除した人に話を聞いてみるとわかります。 胃 を切り取った人が 口 を揃えて
言うことは、「 一度の食事でいっぱい食べられなくなった 」 ということです。
胃 の 容量 は、1200 ~ 1600 ml 。 ビール瓶 2 本分 に相当します。 つまり、「 沢山の食物
を一時的に貯蔵する 」 のが 胃 の役割ということになります。
ところで、37℃ という 体温 の中で食物を貯蔵しているのに、胃 の中の 食物 は 腐敗 することは
ありません。 それは、胃液 や 消化酵素 の働きによるものです。
胃液 に含まれる 胃酸 や 消化酵素 の ペプシン が、食物中の タンパク質 を寸断して、強力な 殺
菌消毒作用 で 腐敗 などの 化学変化 を防いでいます。
実際に、胃 の強い 酸性 の環境で生き延びることが出来る 細菌 は殆んどありません。 ただし、
ヘリコバクター・ピロリ菌 だけは 例外 で、この 細菌 が 胃潰瘍 の原因になっています。
「 胃に穴が開く 」 は本当?
胃液 に含まれる 塩酸 は、皮膚 がただれるほど強力な 酸性 です。 けれども、胃 の粘膜からは
胃 を保護するための特殊な 粘液 も分泌されていますので、胃 自体が 消化 されることはありませ
ん。
しかし、胃液 は 自律神経 が コントロールし ているため、ストレス の影響を受け易いのです。 自
律神経 の働きが乱れると、胃 を保護している 粘液 の 分泌 が悪くなり、塩酸 を含んだ 胃液 によっ
て 胃 の 内壁 が溶かされることがあります。 内壁 が溶けた様子が、穴 が開いたように見えるので
「 胃に穴が開く 」 と表現されます。 この状態が、胃潰瘍 です。
しかし、消化器 は 生命 を維持する 栄養 を摂る 器官 ですから、他の 組織 に比べて 細胞 の入
れ替わりが早いのです。 胃 の 粘膜 は 約 3日、小腸 にいたっては 約 1日 で入れ替わってしまい
ます。 したがって、極度の ストレス を受けて 1日で 胃潰瘍 になる反面、ストレス から 解放 された
途端に 胃壁 が 修復 されて 治って しまうこともあるのです。
どうしてお腹が空くのか
胃壁 は、縦・横・斜め に伸び縮みする 3層の筋肉で構成されています。 食事 をするとこの 筋肉
が引き伸ばされて、その刺激は 神経 を通じて 脳 に伝わり、私たちは 「 お腹がいっぱい 」 という 満
腹感 を感じます。
これとは逆に、胃 の中が 空っぽ になると、今度は 胃壁 の筋肉が 神経 を通じて 空腹 を伝え、お
腹 が 空いた と感じるわけです。
栄養素 を含んだ 食物 を摂取すると、胃腸 で 消化吸収 されて、最終的には 細胞 の活動に使わ
れます。 この 栄養素 が使い尽くされてしまうと、「 お腹が空いた 」 となり、次の 食事 を摂るわけ
です。
ところが、空腹感 は 胃 だけが感じているのではありません。
栄養素 の流れを見てみると、栄養素 が一時的に 貯蔵 される場所は、胃 と 肝臓 の二ヵ所です。
脳 は、胃 と 肝臓 の 栄養素 の 貯蔵状態 を感知して、お腹 が 空いた と判断しているのです。
それでは、肝臓 が 「 空腹を感じる 」 とは、どういうことでしょう?
食事で摂った 炭水化物 は、小腸 で ブドウ糖 に分解されて血液中に放出されます。 血液中の
ブドウ糖濃度 ( 血糖値 ) を一定に保つために、余分な ブドウ糖 は 肝臓 で グリコーゲン に変え
られて 貯蔵 されます。
そして、時間が経って 血糖値 が低くなると、肝臓 から グリコーゲン を ブドウ糖 に戻して、血液
中 に放出します。
特に 脳 の 神経細胞 は ブドウ糖 に頼って活動しているため、血糖値 の変化にはとても敏感で
す。 そこで、血糖値 が低くなると、脳 が 「 空腹を感じる 」 のです。
お腹 が空いた時、頭 がボーッとすることがありますね。 そんな時に チョコレート を少し口にす
ると、頭 がすっきりと回復しますが、これは 低血糖 が回復して 神経細胞 に エネルギー を送った
からです。
肝臓 は、血糖値 を一定に保つ働きも担っているのですね。
坂井建雄 著 ” 面白くて眠れなくなる人体 ” より
真夏に 生ゴミ を外に放置しておくと、腐って強烈な 臭い を発しますね。
私たちの 体温 は、36 ~ 37℃ です。 これは 体表 の温度ですから、体内 の温度は更に 1℃
くらい高くなります。 まさに 猛暑日 と同じ状態です。 それにもかかわらず、食べたものが体内で
腐敗しないのはどうしてでしょう?
食物 は、まず 食道 から 胃 に入ります。 胃 の粘膜からは、胃酸 と 消化酵素 が分泌されてい
ます。 多くの人が 「 胃で消化吸収を行っている 」 と思っていますが、そうではありません。 食物
の タンパク質 をぶつ切りにすることは出来ても、胃 の粘膜で吸収できる程に細かくなるわけでは
ありません。
タンパク質 を アミノ酸 にまで分解して、粘膜 から吸収できるようにするのは、膵臓 から分泌され
る 膵液 や、腸 の粘膜から分泌される 腸液 に含まれる 消化酵素 の働きです。 したがって、胃 の
粘膜から分泌される 胃液 や 消化酵素 が無くても、消化 や 吸収 は出来るのです。
それでは、胃 は何のためにあるのでしょう?
その答えは、胃 を切除した人に話を聞いてみるとわかります。 胃 を切り取った人が 口 を揃えて
言うことは、「 一度の食事でいっぱい食べられなくなった 」 ということです。
胃 の 容量 は、1200 ~ 1600 ml 。 ビール瓶 2 本分 に相当します。 つまり、「 沢山の食物
を一時的に貯蔵する 」 のが 胃 の役割ということになります。
ところで、37℃ という 体温 の中で食物を貯蔵しているのに、胃 の中の 食物 は 腐敗 することは
ありません。 それは、胃液 や 消化酵素 の働きによるものです。
胃液 に含まれる 胃酸 や 消化酵素 の ペプシン が、食物中の タンパク質 を寸断して、強力な 殺
菌消毒作用 で 腐敗 などの 化学変化 を防いでいます。
実際に、胃 の強い 酸性 の環境で生き延びることが出来る 細菌 は殆んどありません。 ただし、
ヘリコバクター・ピロリ菌 だけは 例外 で、この 細菌 が 胃潰瘍 の原因になっています。
「 胃に穴が開く 」 は本当?
胃液 に含まれる 塩酸 は、皮膚 がただれるほど強力な 酸性 です。 けれども、胃 の粘膜からは
胃 を保護するための特殊な 粘液 も分泌されていますので、胃 自体が 消化 されることはありませ
ん。
しかし、胃液 は 自律神経 が コントロールし ているため、ストレス の影響を受け易いのです。 自
律神経 の働きが乱れると、胃 を保護している 粘液 の 分泌 が悪くなり、塩酸 を含んだ 胃液 によっ
て 胃 の 内壁 が溶かされることがあります。 内壁 が溶けた様子が、穴 が開いたように見えるので
「 胃に穴が開く 」 と表現されます。 この状態が、胃潰瘍 です。
しかし、消化器 は 生命 を維持する 栄養 を摂る 器官 ですから、他の 組織 に比べて 細胞 の入
れ替わりが早いのです。 胃 の 粘膜 は 約 3日、小腸 にいたっては 約 1日 で入れ替わってしまい
ます。 したがって、極度の ストレス を受けて 1日で 胃潰瘍 になる反面、ストレス から 解放 された
途端に 胃壁 が 修復 されて 治って しまうこともあるのです。
どうしてお腹が空くのか
胃壁 は、縦・横・斜め に伸び縮みする 3層の筋肉で構成されています。 食事 をするとこの 筋肉
が引き伸ばされて、その刺激は 神経 を通じて 脳 に伝わり、私たちは 「 お腹がいっぱい 」 という 満
腹感 を感じます。
これとは逆に、胃 の中が 空っぽ になると、今度は 胃壁 の筋肉が 神経 を通じて 空腹 を伝え、お
腹 が 空いた と感じるわけです。
栄養素 を含んだ 食物 を摂取すると、胃腸 で 消化吸収 されて、最終的には 細胞 の活動に使わ
れます。 この 栄養素 が使い尽くされてしまうと、「 お腹が空いた 」 となり、次の 食事 を摂るわけ
です。
ところが、空腹感 は 胃 だけが感じているのではありません。
栄養素 の流れを見てみると、栄養素 が一時的に 貯蔵 される場所は、胃 と 肝臓 の二ヵ所です。
脳 は、胃 と 肝臓 の 栄養素 の 貯蔵状態 を感知して、お腹 が 空いた と判断しているのです。
それでは、肝臓 が 「 空腹を感じる 」 とは、どういうことでしょう?
食事で摂った 炭水化物 は、小腸 で ブドウ糖 に分解されて血液中に放出されます。 血液中の
ブドウ糖濃度 ( 血糖値 ) を一定に保つために、余分な ブドウ糖 は 肝臓 で グリコーゲン に変え
られて 貯蔵 されます。
そして、時間が経って 血糖値 が低くなると、肝臓 から グリコーゲン を ブドウ糖 に戻して、血液
中 に放出します。
特に 脳 の 神経細胞 は ブドウ糖 に頼って活動しているため、血糖値 の変化にはとても敏感で
す。 そこで、血糖値 が低くなると、脳 が 「 空腹を感じる 」 のです。
お腹 が空いた時、頭 がボーッとすることがありますね。 そんな時に チョコレート を少し口にす
ると、頭 がすっきりと回復しますが、これは 低血糖 が回復して 神経細胞 に エネルギー を送った
からです。
肝臓 は、血糖値 を一定に保つ働きも担っているのですね。
坂井建雄 著 ” 面白くて眠れなくなる人体 ” より