「日々是好日 日記」

東京都江戸川区船堀の鍼灸良導絡・カイロプラクティック「今井治療室」ブログです

2019年05月

緑黄色野菜 で リスク減 の報告
 白内障 とは、目 の 水晶体 が濁り、物が 霞んだり ぼやけて 見えたりする 病気 だ。
先天性、外傷性、糖尿病、感染 など、様々な 原因 があるが、多くは 加齢 に伴って
発症し、加齢性白内障 と呼ばれる。

 今のところ有効な 治療薬 は開発されておらず、一旦 発症 して 水晶体 が濁ると 元
には戻らないので、治療 は 手術療法 が主流だ。

 そんな中、食事由来 の ビタミン カロテノイド加齢性白内障 の 発症リスク を
下げるとする、中国・西安交通大 の 公衆衛生学 の ホン・ジャン博士 らの 研究 が 話
題 を呼んでいる。

 博士 らは、食事由来 の 成分 が 加齢性白内障 の 進行速度 に影響を与えることに注
目。 柑橘系果物 や 唐辛子、ニンジン、トマト、ホウレンソウ、ブロッコリー、ケー
ル といった 野菜 の 摂取 と 白内障 との 関連性 を調べた 論文 20 本を 解析 した。

 その結果、食事由来 の ビタミン A の 摂取 が豊富な人は、摂取 の 少ない人 に比べ
加齢性白内障 の 発症リスク が 19 % 減少 していることが分かった。 同じく 食事由
来 の  ビタミン C, E、ベータカロテン、ルテイン、ゼアキサンチン についても、摂取
の豊富な人の 発症リスク は 少ない人 より 10~20 % 減っていた。

 ただし、ビタミン Eベータカロテン サプリメント で 摂取した場合は リスク
は下がらかった。 

 更に 1 日 当たりの 摂取量 と 発症リスク の関係を見ると、食事由来( 以下同 )の
ルテイン 摂取 が 10 ㎎ 増える毎に リスク は 26 % 減少。 ビタミン C は 500 ㎎ 増え
る毎に 18 %、ベータカロテン は 5 ㎎ 増える毎に 8 %、リスク が減っていた。 ビタ
ミン A, C、ベータカロテン、ルテイン緑黄色野菜 に多い。

 加齢性白内障 を 予防 するためにも、厚生労働省推奨 の「 野菜 は1日 350 g 以上、
そのうち 緑黄色野菜 を 120 g 以上 」が 必要 だろう。

                (白澤卓二・お茶の水健康長寿クリニック院長)

             新聞コラム Dr. 白澤 ” 100 歳への道 ” より


安全性の再検証を
 除草剤 などに使われている 化学薬品 グリホサート について、世界保健機関 WHO
の 外部組織 である 国際がん研究機関 は 2015 年、殺虫剤 マラチオン などと共に 発がん
リスク が 2 番目に 高いグループ に指定した。

 この グループ は、ヒト に対して「 恐らく発がん性がある化学物質 」の カテゴリー分
類 とされているが、グリホサート は 現在も 多くの国で 使用 が 許可 されている。

 そんな中、米ワシントン州立大 の マイケル・スキナー博士 らの 研究チーム は、ネズ
ミ の 実験 で グリホサート が 次世代以降 の 子孫 の 前立腺疾患腎臓病 などの 発症リ
スク を 引き上げる可能性を 示唆して話題を呼んでいる。

 研究チーム は グリホサート生殖細胞 に作用した場合、影響 が 孫 の 世代 に出現す
る「 隔世的影響 」に注目。 妊娠中 の メス に 一時的に 許容量 の グリホサート を 投与
後、親世代、次世代( F 1 )、孫世代 (F 2 )、曾孫世代( F 3 )における 種々の 病気
の 発症率 を 解析 した。

 その結果、親 世代 と F 1 世代では 健康 への 影響 はなかったが、F 2 及び F 3 世代で
前立腺疾患肥満症腎臓病卵巣疾患 及び 先天性奇形 の 発症率 が 有意に高いことが
分かった。

 F !、F 2、F 3 世代 の 精子デオキシリボ核酸DNA )が メチル化 されていたこと
から、グリホサート 生殖細胞 に影響を及ぼし、その結果として、F 2、F 3 世代 で
を 引き起こしたと スキナー博士 は考察する。

 グリホサート は 1970 年に発売されてから 50 年近くが経過しており、ヒト への 影響
は F 2 世代 に突入している。 一方、前立腺疾患肥満症 などの 病気 は 2000 年 過ぎ
から 急増しており、その 要因 の 一つとして グリホサート の 関与 を 否定 出来ないので
はないか。

 健康長寿 を目指すためにも 安全性 の 再検証 が必要だろう。

                  (白澤卓二・お茶の水健康長寿クリニック院長)

                   新聞コラム Dr. 白澤 ” 100 歳への道 ” より

積極的に摂取を
 菌類 に属する キノコ は、傘状 の子実態が 細胞外 に 分泌 する 酵素 で 有機物 を
分解吸収 することで 成長 し、胞子 を作り 繁殖 を 繰り返す 生物 である。 

 食用 になるものは 300 種類以上が報告されていて、抗菌作用 抗ウイルス作用
コレステロール低下作用血糖降下作用血圧降下作用 などが見いだされている。
漢方薬 の 原料 や 健康食品 として販売されているものもある。

 そんな中、キノコ を 1 週間に 2回以上摂取した 高齢者 は 軽度認知障害 MCI
を 発症 する リスク が 低減 したという シンガポール 国立大学 の レイ・フェング
博士 らの 研究が話題を呼んでいる。 高齢化社会 の問題に積極的に取り組んでいる
シンガポールでは、認知症 でも 人生 を楽しめる社会づくりを目指している。

 フェング博士 らの 研究チームは、「 食事 と 健康的 な 老化研究 」に参加した 60
歳以上の 健常 な 高齢者 633人を対象に、認知機能 の 低下 と キノコ の 摂取量 の
関連性 を調査した。 その結果、キノコ の 摂取量 が週に 2回以上の 高齢者 は、週
に1回未満の 高齢者 に比べ MCI を有する リスク が 57% も低いことが分かった。

 これまでの研究で、認知症 の患者は 血中エルゴチオネイン の 濃度 が 健常 な 高齢
者 より低いことが報告されていることから、フェング 博士 は キノコ に含まれる
酸化物質・エルゴチオネイン認知症 の 進行 を遅らせた可能性を考察する。
                                      
 エルゴチオネイン ヒト の 体内 で 合成 することが出来ない アミノ酸 で、食事
サプリメント で 摂取 するしかない。 シイタケマイタケハナビラタケ
ノキタケエリンギヒラタケタモギタケ などに 豊富 に含まれている他、甘酒
も含まれている。

  高齢期 の 認知機能 を保つためにも 積極的 に キノコ を 摂取 したい。

                (白澤卓二・お茶の水健康長寿クリニック院長)

          新聞コラム Dr. 白澤 ” 100 歳への道 ” より

 

加齢 を肯定的に
 アポ E 遺伝子 アルツハイマー病認知症 )の 危険因子遺伝子 だ。 遺伝型 には
2 型3 型4 型 の 3 種類があり、日本人 の約 85 % が 3 型、約 10 % が 4 型、残りの
約 5 % が 2 型と報告されている。

 アポ E 4 型 の 保因者 は アポ E 3 型 の 保因者 に比べて アルツハイマー病 の 発症リス
ク が 4~5 倍 も高く、逆に アポ 2 型 の 保因者 は 発症リスク が  0.6 倍 にとどまり アル
ツハイマー病 を発症しにくいことが知られている。

  もし、両親から受け継いだ 遺伝子 が何れも 4 型だった場合は、アルツハイマー病 の 発
症リスク は 10~15 倍 にもなる。 また、アポ E 4 型 の 保因者 は アルツハイマー病
発症年齢  が 早期 で 症状 の 進行 が早く、若年性 アルツハイマー病 を 発症 する 可能性
が高い ことが知られている。

 予防 のためには、若い頃 から 食事ライフスタイル に注意する必要がある。

 そんな中、エール大学 の ベッカ・レビ 博士 らの 研究チーム は、アポ E 遺伝子4 型
であっても、加齢 に対して「 肯定的な信念 」を持っていれば、アルツハイマー病 の 発症
リスク を 約半分(49.8%)下げられることを見いだし話題を呼んでいる。

 研究チーム は、認知症 が認められない 高齢者 4765人( そのうち アポ E 4 型 保因者 は
26% )を 4 年間 追跡調査 し、加齢 に対して 肯定的な信念 を持っている 高齢者 と 否定的
な考え を持っている 高齢者 について、認知症 の 発症率 を 比較・解析 した。

 肯定的 な信念を持つ 高齢者 は、精神的ストレス の レベル が低いため アポ E 遺伝子
発現が低く、遺伝子 の影響が弱まったのではないかと レビ博士 は 考察 する。

 アポ E 4 型 の 保因者 が 認知症 の 発症 を予防するためには、食事運動 に加えて
による 身体機能 の 低下 を気にせずに、前向き 人生 を楽しむことが重要と言えそう
だ。
                                                           (白澤卓二・お茶の水健康長寿クリニック院長)

              新聞コラム Dr. 白澤 ” 100 歳への道 ” より

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