「日々是好日 日記」

東京都江戸川区船堀の鍼灸良導絡・カイロプラクティック「今井治療室」ブログです

2019年08月

 肥満、2 型糖尿病、高血圧 といった 生活習慣病 が、認知症 の リスク
になることは知られている。 ただ、どのような メカニズム で関与して
いるかについては、必ずしも正確には理解されていない。

 そんな中、米マイアミ大公衆衛生学の ミシェル・カウンカ博士 らの研
究チームが、60 代の人々の 肥満度ウエストサイズ大脳皮質
に影響することを明らかにして話題を呼んでいる。


 研究チームは ノーザン・マンハッタン・スタディー という 大規模調査
の中で、磁気共鳴画像化装置( MRI )検査を受けた 1289 人の 高齢期
男女( 平均年齢 64 歳 )について 肥満度( BM )、ウエストサイズ
血中の アディポネクチン( 脂肪細胞から分泌される 善玉 のタンパク
質 )と、大脳の容積、大脳皮質の厚さ、大脳白質の変性病変、小さな梗
塞像
ラクナ梗塞 )との関連性を検討した。

 その結果、BMI ウエストサイズ が大きい 60 代の高齢者は、小さ
い高齢者に比べ、大脳皮質 厚さ が 薄いことが分かった。 しかも、
これらの関連性は 65 歳以下でより顕著に認められた。

 一方、これまで 動脈硬化 などの 血管病変 と関連すると考えられてきた
白質病変小さな梗塞像アディポネクチン と 肥満度 や ウエストサイ
ズ の間には関連性を見いだせなかった。 大脳皮質 には 神経細胞 が 局
在 していて、加齢 認知症 ではその数が減少して 認知機能 が低下する
ことが知られている。

 カウンカ博士は、肥満 を発症すると 血管障害 でなく 神経細胞炎症
を引き起こし、大脳皮質 萎縮 した可能性を指摘する。

 肥満 については 2 型糖尿病動脈硬化 の リスク が 強調されてきた
が、大脳皮質萎縮 の リスク も追加された。 高齢期の 認知機能 を保つ
ためには、60 代前半から 体重ウエストサイズ を管理しておくことが
重要だろう。
                  (白澤卓二・お茶の水健康長寿クリニック院長) 

          新聞コラム Dr. 白澤 ” 100 歳への道 ” より               

入眠 の 1 ~ 2 時間前の 入浴 が有効
 睡眠 の「 」が 認知機能 に影響を与えることはよく知られている。 睡眠時間 が
極端に短くなったり 徹夜 をしたりすると、アルツハイマー病 の 原因物質 と考えられ
ている アミロイド β タンパク質 の 蓄積が増えることも 本コラム で紹介した。

 夕食 の内容も 睡眠 に影響を与える。 良い 睡眠 のためには、夕食 は カロリー
糖質 が 控えめで、食物繊維 の多い 日本食 が お勧めだ。 ならば 入浴 は、睡眠
どんな影響を与えるのだろうか。

 米テキサス大 の シャハブ・ハグハイ エ グ 博士 らの研究チームは、入眠 の 1 ~ 2 時
間前に 湯温 40 ~ 42.5 度 の バスタブ に入浴するか シャワー を浴びると 良い睡眠
つながると報告して話題を呼んでいる。

  入浴 と 睡眠 の 質 に関する 研究論文 17本について、睡眠時 の 脳波 から評価された
睡眠 の 質 と、入浴 の タイミング、バスタブ の 湯温 などの 入浴の条件 との関連性を
詳細に 解析した結果、寝る 1 ~ 2 時間前の 40 ~ 42.5 度の 入浴良い睡眠 に最適
の 条件であることが分かった。
 
 入浴時間 は最短で 10 分あれば効果が得られた。 更に、同温度の シャワー を浴び
たり、足 を 温める フットバス を使用したり することでも同様の効果が得られたが、
この点について ハグハイ エ グ 博士 は、温まった 手足 からの 放散 深部体温
急速な 低下 を 誘導し、良好な 入眠条件 になっていると考察する。

 夜中に クーラー をつけて寝るかどうか悩んでいる人も多いと思うが、入浴後 の 手足
からの 熱 の 放散 が重要であるとすれば、寝苦しい夜 には 部屋を 適度に 冷やして 放散
効率 を 高めた方が 良い 睡眠 を 誘導できると考えられる。

 一方、靴下 を履いて寝ることは 熱 の 放散 を妨げるので、睡眠 の を考えると お勧
め できない。  の 寝苦しい夜 の 睡眠 の を上げるために、参考にしてほしい。

                                                  (白澤卓二・お茶の水健康長寿クリニック院長)

             新聞コラム Dr.白澤 ” 100 歳への道 ” より



 人間 は一生の約 3分の1の 時間を 睡眠 に充てている。 

 だが、なぜ 眠らないといけないのか、眠気 はなぜ 生じるのかすら、よく分かってい
なかった。 そんな 眠り の 謎 を 解き明かしつつあるのが、筑波大の 柳沢正史教授 ら
の研究チームだ。 昨年、英科学誌「 ネイチャー 」に 発表した 論文が 世界的 な注目
を集めた。

 柳沢 さんらは、化学物質 で 遺伝子 に 突然変異 を起こす手法を使い、睡眠時間 が極
端に 長い マウス の 系統を作った。

 この マウス の と、わざと 寝不足 にした マウス の とで共通して起きている変化
を調べたところ、80種類 の タンパク質 で、リン酸化 と呼ばれる 反応 が進行していた。
 
 これらの タンパク質 の大半は、睡眠 によって回復するとされる の シナプス の構造
や機能に関わるものだった。 タンパク質リン酸化 により 活性化する。 また、シナ
プス は、神経細胞 が 情報を伝える際の 中継点 となる場所だ。

 眠気 の実体は タンパク質 リン酸化 であり、シナプス を回復させることが 眠り
機能ではないか ーーー 研究を踏まえた 柳沢さん たちの 仮説 だ。

 柳沢 さんは 1998年、脳内物質オレキシン を見つけた。 その後、オレキシン
の 欠乏が 居眠り病 の「 ナルコレプシー 」の原因と分かり、睡眠研究 に大きく 舵 を切
った。

 座右の銘 は「 真実 は 仮説 よりも 奇 なり 」。 当初、オレキシン は 食欲 の 抑制 に
関わると予測したが、覚醒 の 維持 を担うという予想外の結果となった。 「 目の前にあ
るデータ( 真実 )より 仮説 を上に置いてはならない 」と 自戒する。

 睡眠不足認知機能 の 低下 を招くばかりか、健康 に様々な 悪影響 を及ぼす。

 柳沢 さんによれば、私たちに必要な 睡眠時間 は 6~8 時間程度。 自身 も、午前 0
時から 7 時まで 床の上 にいるようにしているそうだ。 深く 長 く 眠 る 能力 は 霊長類
の中でも ヒト に 特有 で、これが の 発達 も促したと考えている。

 蒸し暑い 夏 の 安眠法 は?
 ① 平日 も 休日 も 同じ時間 に寝て起きる  ② 寝室 を 暗く静かで 適温 に保つ ーーー が
ポイントで、「 クーラーは 体 に 悪いは 都市伝説 」と 柳沢さん。

 日本人 の 平均 睡眠時間 は 世界 最短レベル で、睡眠不足 による 経済損失 は約 15 兆
円との 試算 もある。 睡眠研究 の 効果 は 目覚ましいと言えそうだ。

                新聞記事 ” 今どきサイエンス ” 鴨志田公男  より 転載

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