「日々是好日 日記」

東京都江戸川区船堀の鍼灸良導絡・カイロプラクティック「今井治療室」ブログです

2020年10月

 表面 の スベスベ の きれいな ナス と、傷もの の ナス が 野菜 売り場 の 同じ カゴ に
並んで いたら どうする だろう?  おそらく、誰 もが きれいな 方 を 手 に 取る の で
は ない か。 しかし、それでは ナス の 最も 重要 な 成分 を 少なめ に 摂取 する こと
に なって しまう。
 
 実は 傷もの の ナス の 皮 には、ポリ フェノール の 一種 である アント シアニン が、
きれいな ナス の 約 2 倍 も 多く 含まれて いる。 アント シアニン は ブルー ベリー
や 赤 ワイン など にも 多い 紫色 の 色素 で、強い 抗 酸化 作用 を 持つ 成分 だ。

 アント シアニン が 特に 多い のは、まさに 皮 が 傷ついて いる あたり。 人間 の
体 と 同じ ように、傷 が 出来ると 細菌 など が 侵入 し易い ので、アント シアニン を
増やして 抵抗力 を 増して いる のだと 考えられて いる。 野菜 売り場 で 傷 の ある
ナス を 見つけ たら、「 もうけた!」と 思う ように しよう。


                                                           青春出版社 ” 食べ物の栄養便利帳 ” より

 秋 の 味覚、 は 味 が 良い のは 勿論、栄養価 も 高い 果実。 焼き 栗 や ゆで栗、
甘露煮 などは 甘くて とても 美味しい が、栄養面 から 考える と 残念 なことが ある。
生 の 栗 に 豊富 に 含まれ ている アンチ エイジング に 効く 成分 を、こうした 食べ方
では 全く 摂取 する ことが 出来ない のだ。

 焼き 栗 など には ない 重要 な 成分 とは、ポリフェノール の 一種 である タンニン
や プロアント シアニジン。 強い 抗酸化 作用 が あり、老化 防止 や ガン 予防 などに
効果 が ある ことが 知られて いる。 しかし、こうした ポリフェノール 類 は 渋皮
含まれて いるので、きれいに はいで しまうと 健康 効果 は ゼロ なのだ。

 嬉しい アンチ エイジング 効果 を 得る には、渋皮 ごと 食べる 渋皮煮 が いちばん。
少々、時間 と 手間 が かかるが、是非 手作り して みよう。
 

                                                       ” 食べ物の栄養便利帳 ”( 青春出版社 ) より 


食事 制限 多い 患者 に 光明も
 日本 透析 医学会 の 統計 調査 によると、2017 年末 時点 で 全国 に 33 万人 以上
の 透析 患者 が いて、人口 100 万人 当たり の 透析 患者 数 は 台湾 に 次いで 世界
第 2 位。 透析 に かかる 医療費 も 年間 1 兆 6000 億円 に 膨れ 上がって いる。 
 
 1980 年代 当時、透析 が 導入 される 主な 原因 疾患 といえば 慢性 糸球体 腎炎 だ
った。 ところが 17 年には 糖尿 病性 腎症 が 40 % を 占める ように なって 最大 の
原因 疾患 と なり、慢性 糸球体 腎炎 は 30 % 以下 と なった。

 糖尿 病性 腎症 は 糖尿病 の 合併症 の 一つで、糖尿病 の 発症後 約 10 年 で 患者 の
数 % が これを 発症 すると 言われる。

 注目 すべきは、滋賀 医大 の 前川 聡 教授 らの 研究 チーム の 報告 だ。 脂肪 が
肝臓 で 分解 されて出来る 物質「 ケトン 体 」を 増やす SGLT 2 阻害薬 に、糖尿 病
性 腎症 に 対する 予防 効果 や 治療 効果 が 期待 できる と いうのだ。

 研究 チーム は、糖尿病 を 発症 した ネズミ に ケトン 体 の 前駆 物質 を 与えた と
ころ、ネズミ の 血液中 の ケトン 体 の 濃度 が 上昇 し、代謝 異常 が 起きて いた 腎
臓 の 細胞 の 状態 が 改善 され、糖尿 病性 腎症 の 進展 の 抑制 に 成功 した。

 研究 チーム は 更に、SGLT 2 阻害薬 と いう 糖尿病 薬 によって 尿 から 糖 が 排出
され、肝臓 で ケトン 体 が 合成 され、それが 腎臓 の 細胞 の 代謝 異常 を 正常化 し
て いること を 突き 止めた。 ケトン 体 は これまで、糖尿病 の 急性 合併症 で ある
ケトアシドーシス の 原因 物質 という 負 の イメージ が 根付 いて いたが、本当は 腎
臓 の 細胞 を 保護 する 健康 に 良い 物質 で あることが 明らか に なった ーーー 前川
教授 は そう 強調 する。

 ケトン 体 が アルツハイマー 病 の 脳 代謝 で グルコース の 代替 エネルギー 源 と
して 認知 機能 を 改善 する 効果 が 確認 されて 7 年 が 経過 したが、これまで 病気
の 進展 を 止める ことが 出来ず に 最終的 に 人工 透析 を 導入 せざる を 得なかった
糖尿 病性 腎症 にも ケトン 体 が 光明 と なり そうだ。

 糖尿 病性 腎症 の 食事 指導 は タンパク 制限 に 塩分 制限、カロリー 制限 が 基本
で ” 制限 だらけ ” の 食 生活 を 指導 されて いる 腎臓病 患者 も 多いと 思う。 今回
の 結果、そのような 制限食 を 強いられて きた人 に 朗報 に なるかも しれない。

 炭水 化物 を 厳しく 制限 して カロリー の 大半 を 脂肪 で 摂取 しよう という ダイ
エット 法「 ケトン食 」も 有効 だろう。 栄養学 にも パラダイム シフト が 起きて
いる ようだ。
                (白澤卓二・お茶の水健康長寿クリニック院長)

           新聞コラム Dr. 白澤 ” 100 歳への道 ” より

過剰 摂取 で バリアー 機能 に 障害 
 果糖 は フルーツ、蜂蜜、ベリー 類 に 含まれる 単 糖質 だが、砂糖 の 主 成分 は グ
ルコース と 果糖 から 構成 される ショ 糖( 二糖類 )だ。 グルコース が 血糖 を 上
昇 させるため、砂糖 の 摂取量 が 増加 することは 2 型 糖尿病 や 肥満 の 原因 になる
と 考え られている。

 一方、果糖 は 血糖 を 上昇 させないが、過剰 に 摂取 すれば 脂肪 肝 を もたらすこ
とは 知られ ていた。 とは 言え、脂肪 肝 を 起こす と 肝臓 に 炎症 が 起き、慢性 炎
症 が 肝臓 ガン を 引き 起こす 原因 が 詳細 に 理解 されて きたとは 言い がたい。

 そこで 注目 すべきは、米国 の カリフォルニア 大学 医学部 サンディエゴ 校 の 薬理
学 の ジェレナ・トドリック 博士 らの 研究 で ある。

 トドリック 博士 らは、果糖 の 過剰 摂取 が 腸管 上皮 の バリアー 機能 に 障害 を 起
こすことで、腸内 細菌 の 内 毒素 が 肝臓 に ある 炎症 細胞 を 活性化 させ、こうした
幹 細胞 の 病的 代謝 に よって 中性 脂肪 が 合成 される ことを 明らか に した。 研究
チーム は また、その 慢性 炎症 が 続く と 肝臓 ガン の 発症 に つながる ことも 突き 止
め た。

 ヒト の 腸 には 元々、細菌 叢 が 常在 して 健康 に 良い 栄養素 や、健康 を 害する 内
毒素 を 分泌 している。 しかし、腸管 の 上皮 細胞 間 には タイト 結合 と いう 隣り 合
う 上皮 細胞 をつなぐ 構造 が あり、内 毒素 や 未消化 の 物質 は 腸管 の 外に 漏れ ない
ように なっている。

 最近 の 研究 で、小麦 の グルテン や 牛乳 の カゼイン に 対する 食物 アレルギー 抗
体 が 腸管 上皮 の タイト 結合 の 構成 成分 を 攻撃 すると リーキーガット 症候群( 腸
漏れ 症候群 )を 起こし、認知 機能 障害 や 自閉症 などを 発症 する 機序 が 明らかに
なって いる。

 私 の クリニック では グルテン 抗体、カゼイン 抗体 が 陽性 の 認知症 の 症例 も 多
い。  だが、これらの 抗体 が 陰性 ながら リーキーガット 症候群 を 併発 している ケー
ス も 多数 経験 して いる。 グルテン や カゼイン 以外 の 食品 成分 が リーキーガット
症候群 を 起こして いる のでは と 疑って いたが、果糖 は その 原因 食材 の 一つ かも
 しれない。
 
  実際、超 加工 食品 と 呼ばれる 袋入り スナック 菓子 や 炭酸飲料、濃縮 した 果汁 飲
料 などには 大量 の 果糖 が 含まれ、認知 機能 が 低下 した 高齢者 が たくさん 摂取 し
て いる 事 も 確か だ。

 高齢期 の 認知 機能 を 保つ ため にも、スナック 菓子 などの 超 加工 食品 を 控え、
果物 は 生 で 摂取 し、腸管 の バリアー 機能 を 保つ ことが 重要 だろう。 

                (白澤卓二・お茶の水健康長寿クリニック院長)

          新聞コラム Dr. 白澤 ” 100 歳への道 ” より

バランス の 良い食事 で 予防
 糖尿病 や 高血圧 が 認知症 の 発症 リスク に なっている ことが 最近 の 研究 で 次々
に 報告 され、生活 習慣 が 認知症 の 発症 に 重要 な 役割 を 果たしている ことが 知ら
れている。

 一方で 肥満 は これまでの 研究 で 高 血圧 症、高 脂血 症、動脈 硬化 症、睡眠 時 無
呼吸 症候 群、痛風 や ガン の 発症 リスク に なると 報告 されて いたが、認知症 の 発
症 に 関しては 明確な 関連性 が 報告 されて おらず、議論 が あった。

 肥満 と いえば、世界 保健 機関( WHO )は「 高 カロリー 食品、動物性 脂肪、ファ
ストフード、砂糖 の 添加 された ジュース の 過剰 摂取 が 原因 」と し、肥満 を「 食
源 病 」と 位置 付け ている。 食 生活 の 急激 な 変化 の 影響 により、米国 のみ なら
ず 東欧 や アジア でも 肥満 が 増加 傾向 に あり、グローバル な 医学的 問題 へと 発展
している。

 そんな中、中高年 に なると 肥満度 を 示す BMI( 体格 指数 )が 30 以上 の 人 は
25 未満 の 人 に 比べ、認知症 の 発症 リスク が 34 % も 高い と 報告 され、話題 に
なっている。

 英 大学 の ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン( UCL )の ドリナ・カダール 博士
らの 研究 チーム は、英国 の 加齢 研究 に 参加 した 50 歳 以上 の 中高年 6582 人 を
対象 に BMI と 腹囲、認知症 の 発症 の 関連性 を 平均 11 年間 に わたって 追跡 調査。 
この内 453 人( 6.9 % )が 調査 期間 中 に 認知症 を 発症 し、とりわけ BMI 30 以
上 では 18.5 以上 25 未満 の 正常 体重 の 人 に比べて 認知症 の 発症率 が 34 % 高か
った。

 今回 の 研究 により、これまで 報告 されてきた 発症 リスク、例えば 糖尿病、高血
圧、アポE 遺伝子 型、喫煙、運動 不足、婚姻 状態、学歴 と いった 要因 とは 独立 し
た 認知症 の 発症 リスク で あることが 分かった ことになる。

 また、女性 に ついては、腹囲 が 88 ㌢ 以上 の「 内臓 脂肪型 肥満 」( リンゴ型 肥
満 )は、腹囲 が 88 ㌢ 以下 の「 皮下 脂肪型 肥満 」( 洋ナシ型 肥満 )より 39 % も
認知症 の 発症 リスク が 高い ことが 判明 した。

 内臓 脂肪型 は、内臓 脂肪 から アディポ ネクチン という ホルモン の 分泌 が 低下
する ことが 知られ、これは 脳 血管 の 内皮 細胞 に 作用 して 保護 作用 を 示す こと
から、脂肪 細胞 の 代謝 が 認知 機能 の 維持 に 影響 を 与えている 可能性 がある、
と 博士 は 指摘 する。

 ともあれ、砂糖 や 小麦粉 などの 糖質 を 控え、食物 繊維 の 豊富 な 野菜 や 肉、魚、
卵、大豆 などの タンパク 質 を バランス 良く 摂取 し、肥満 に 関連 した 病気 を 予防
したい。

                           (白澤卓二・お茶の水健康長寿クリニック院長)

           新聞コラム Dr. 白澤 ” 100 歳への道 ” より

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