「日々是好日 日記」

東京都江戸川区船堀の鍼灸良導絡・カイロプラクティック「今井治療室」ブログです

2022年09月

「 あなた、だれ? 」「 ごはん、まだ 」は 忘れた わけでは ない
 認知症 症状 を 語る 際には、記憶 の 障害 ではない にも かかわらず " 忘れる ”
という 表現 が 非常に よく 使われ ます。
 
 自分 の 家 を 忘れた、子供 の 顔 を 忘れた、ご飯 を 食べた ことを 忘れた、や
かん を 火 にかけている ことを 忘れた など、実に 安易 に ” 忘れた ” が 使われ て
いること にも、認知 障害 である ことへの 理解 が 進ま ない 原因 が あると 考え
て います。

 自宅 で 何年 にもわたって 一生 懸命 お母さんを 介護 してきた ある 女性 は、
自分 の 顔 を 見た お母さん から「 失礼 ですけど、どちら 様 ですか 」と 聞かれ
て、ショック から 立ち 直れなく なって しまった と いい ます。
 この 様 な 家族 の 顔 が 分からなく なる、子ども である 自分 のことを 忘れて
しまった という 嘆き  の声 は、認知症 の 人 の 家族 から 大変 多く 聞き ます。

 目 の 前 に いる のが 人 である ことは 分かる。 けれども、それが 誰 だか 分
から ない。 これが「 あなた、どなた? 」の 質問 をする 認知症 の 人たち の
世界 です。

 この 言葉 が 出て くる のは 相手 を 忘れた からでは ありません。 「 その 人
と 自分 との 関係 が 正しく 認知 出来なく なって いる 」ことが 理由 なの です。

 そのため、相手 を 確認 しよう として、あるいは どう 対処 して いいか 分から
なくて、「 あなた、どなた? 」と 聞いて しまう のです。
 
 ◆「 時間 」の 認知 が 出来 ない から、自分 の 年齢 を 間違 える 
 実年齢 は 80 歳 なのに「 自分 は 60 歳 だ 」という 認知症 の 人 も います。 
若く見られ たい 気持ち が ある とか、冗談 で サバ を 読んで いる わけ では あり
ません。 本当 に 自分 は 60 歳 で あると 思って いる のです。

 こうした 現象 は「 時間 」の 認知 の 障害 から きて います。
 私たち は 時間 を「 流れ 」で 認知 して います。 時刻 は 時間 の 流れ を 証明
する 手段 に 過ぎ ません。 「 もう 2 時だ 」「 10  時 から 会議 を 始めて もう
すぐ 1 2 時 に なるから 2 時間 か 」など、時間 の 流れ を 確認 する のに 時刻 とい
う 手段 を 用いて いる だけ のこと で、時間 の 認知 とは「 時間 の 流れ の 認知 」
なの です。

 80 歳 なのに、自分 は 60 歳 で あると 思って いる のは、「 時間 の 流れ の 認
知 」から 言うと、時間 が 60 歳 で 止まって しまって いる という こと です。
 

食べた のに「 ごはん、まだ? 」は、物忘れ ではなく 時間 が 止まって いるから
 この 時間 認知 の 狂い は、認知症 の 人には よく 見受け られ ます。
 代表的 なの が「 ご飯、まだ? 」です。
 食事 した ばかり なのに、直後に「 ご飯、まだ? 」が 出て くる のは、ご飯 を
食べた ことを 忘れて いる わけでは なく、その 人 の 中 での 時間 が、食前 で 止
まって しまって いる ため
です。

 例えば 貴方 が、何かの 作業 に 何時間 も 没頭 したとき、あまりに 熱中 して い
て ご飯 を 食べたか どうか 覚えて いない という シチュエーション で、どの よう
な 言葉 が 出て くる でしょう か。 おそらくは「 あれ、ご飯 食べ たっけ? 」で
しょう。

 日本語 は 厳密 に 表現 を 使い 分ける 言語 です。 「 今日 は 暑い 」と「 今日
も 暑い 」では 意味 が 全く 変わり ます。
 食べたか どうか 覚えて いない 時に、日本語 で「 ご飯、まだ? 」は 決して 使
い ません。
「 ご飯、まだ? 」が 出てくる のは、食前 で 時間 が 止まって いて「 もう すぐ ご
飯 だ 」と 思って いる からに 他 なら ない のです。 自分 は そう思って いるのに、
一向 に ご飯 が 出て こない。 だから 繰り 返し、繰り 返し「 ご飯、まだ? 」 と
聞く のです。

 私 の 経験 した ケース では、食後 で 時間 が 止まって しまって いる 人 も いま
した。 この 様な 場合、ご飯 の 時間 になっても 部屋 から 食堂 に 降りて こず、
職員 が「 ご飯 ですよ 」と 声 を かけると、「 ええ? 」と 怪訝 な 顔 を 返して き
ます。 その 方 に とって、食事 は もう 済んだ ことに なって いる から です。

 認知症 について 書かれて いる どの 本 も、「 ご飯、まだ? 」に ついて、「 ご
飯 を 食べた ことを 忘れる 」から だと 書いて あります が、人間 の 時間 認知 の
様式 から すれば あり 得 ない こと。 大きな 間 違い と 言わざる を 得ません。

 人 が 居て、物 が あって、時間 が 流れて、場 という ものが 作られて います。
この 全部 を ひっくる めた もの が「 状況 」です。
「 認知 障害 」 は、「 状況 」を 構成 して いる、” 人・物・時間 の 流れ・場 ” を
正しく 捉え られなく なって いる 状態 です。

 人 に 対する 認知 障害、物 に 対する 認知 障害、時間 に 対する 認知 障害、場
に 対する 認知 障害 が 起きて おり、自分 は どう 振る 舞えば 良い かが 分からな
く なって いる。

 これが 認知症 という 病気 なの です。

 それを 踏まえて 認知症 を 考えて いかない から、「 貴方、どなた? 」も「 ご
飯、まだ? 」も、「 顔 を 忘れた 」「 食べた ことを 忘れた 」に なって しまう。

 こうした 間 違った 解釈 から、認知症 を 本当 に 治す ための 方法 が 出て くる
わけが あり ません。


  竹内孝仁 ” ボケの8割は「水・便・メシ・運動」で治る ” より 

 

体験 して いる のに 体験 して いない 人 たち
 
私たちは 常に 外界 がら 膨大な 量 の 情報 を 受け 取って います。 しかし、
それらを 全て 認知 して いる わけでは ありません。
 例えば 2人 で 同じ 道 を 歩いて 来た のに、印象 に 残って いる ものが 互い に
違う という ことは よく あります。

 自分 は、ある 家 の 庭 の 花 の 様子 が キレイ だと 思った ので、「 さっき 通っ
た 家 の お花、キレイ だった ね 」と 言った ところ、相手 は「 え、お花 なんて ど
この こと? 」と 気づいて いない。 あるいは 相手 には 強く 印象 に 残った のに、
自分 は 全く 覚えて おらず「 え? ラーメン 屋 さん、そんなの あったっけ? 」に
なる。

 この ように 同じ 状況 の 中 に いても、そこでの 体験 が それぞれ 異なる と い
う ことは 往々 にして あります。 知覚 から 強い 刺激 を 受けて、その 人 の 中
に 記憶 として 定着 した もの が「 体験 」
です。

 人間 の 感覚 の キャパシティ は それ程 大きく ない ため、視界 に 入ったり、耳
から 音 として 入って きたり、臭い や 香り として 感じたり、実際に あらゆる も
のを 知覚 して 体験 して いながら、体験 として 残ら ない ものも 出て きます。

 視野 には 入って いる のに 見て いない もの、聴覚 や 嗅覚 で 感知 は して いる
のに 音 や 香り として「 認知 」しない ものは 体験 として 残り ません。 何が
体験 になる かは、当然 ながら 人 それぞれ で 違い ます。

 体験 の メカニズム から すれば、ある 出来事 が スッポリ 抜け 落ちて しまう 認
知症 の 物 忘れ も、そもそも 本人 が その ことを ” 体験 して いない ” と いう こと

なの です。 その 場 に いた としても、見て いない、聞いて いない、嗅いで いな
い、だから 体験 として 残って いない という こと です。

 本人 が 体験 して いない ものに 対して、” 忘れた ” と いう 表現 を 使う こと が
いかに おかしい か。 認知症 は 記憶 障害 では ない という 理由 の 一つ が、ここ
に あります。

 認知症 に ついては、認知 障害 から くる 体験 障害 でも ある と 考えて いかな け
れば ならない のです。 


   竹内孝仁 ” ボケの8割は「水・便・メシ・運動」で治る ” より

「 認知症 = 記憶障害 」の 発想 から 抜け 出せ
 
私 の 理論 では、認知症 を 記憶 障害 に よる もの として 扱って いません。 
理由 は 明確 です。 認知症 と 言う 病 は 記憶 の 障害 では ない から です。

 1900 年頃 の 認知症 研究 では、認知症 は「 注意 障害 」だと 言われて いまし
た。 当時 は、注意力 を はかる テスト で 様々な 研究 が 進め られて おり、認
知症 の 人 は 注意力 が 低下 して いる、そのため 注意力 の 低下 が 認知症 の 原
因 になる という ことを 実証 した 論文 が 数 多く あります。

 ところが、誰 が 言い 出した 犯人 かは 分かり ません が、いつの 間 にか 認知
症 は 記憶 障害 で ある との 見方 が 主流 と なって しまい ました。
 しかし「 記憶 障害 = 認知症 」説 には、大きな 問題 が あり ます。 記憶 障
害 が 認知症 の 原因 で ある ことを 実証 した 研究 は、一つも 存在 して いない

の です。

 では 認知症 とは 何 なのかーーー。
 その 答え は 名称 が 示す とおり、「 認知 」の 障害 です。
 では「 認知 」とは 何 なの でしょう か。
 認知 に 関して の 専門 分野 は 認知 心理学 です。 その 認知 心理学 に おいて、
「 認知 」は 次 の ように 定義 されて います。

 「 認知 とは、ここは 何処 で、自分 は 何故 ここに いて、どう すれば いいか が
分かる こと 」 即ち、この 場 は 何処 か という「 認識 」、この 場 と 自分 の 関
係 に ついて の「 理解 」、そして 自分 は どうする べきか という「 判断 」の 3つ
で 成り 立って いる のが、「 認知 」と いう わけ です。

◆ 全ての 行動 は「 認知 」が ベース に なって いる
 私たち は、朝 目 覚めて から 夜 眠り に 落ちる まで、意識的 に せよ 無意識 に せ
よ、様々な 認知 を 働かせて います。
 例えば 朝 起きた 時、そこが 自宅 で ある と「 認識 」し、自分 は 今 ベッド の 中
に いて 目 が 覚めた ところ だと「 理解 」し、起きて 歯 を 磨かな ければ と「 判断 」
します。
 日々 全く 意識 せずに とって いる 行動 で すら、こうして 認知 が 働いて いる の
です。

 何処か に 出かけた 先 で 道 が 分から なく なって しまった、この 様 な ” 状況 が
分から ない ”  中 に 置かれた 場合 は どう で しょうか。
 先ず は、ここが 何処 で、自分 は 何処 に いる のかを 知ろう と する でしょう。
そのため 道路 標識 を 見て 地名 を 探し たり、番地  が記載 されて いる 表札 を 探し
たり、通り がかり の 人 に 尋ね たり、交番 を 探したり する でしょう。

 目的地 に 行く ため には、どうする かも 考える はず です。 歩いた 方 が いい
のか、タクシー を 拾う か、歩いて いく なら どっちの 方向 に 行けば よい か、そ
んな 判断 も する はず です。 これら が 認知 です。

 通常、人 の 認知 が 働か ない 状態 は 唯一、眠って いる 時 だけ です。
 目 が 覚めて 何 かしら 活動 して いる 間 は、全て が 認知 の 連続 です。 じ
っと して いよう が、動いて いよう が、立って いよう が、座って いよう が、テ
レビ を 観て いよう が、仕事 を して いよう が、常 に 認知 が 働いて おり、正し
い 認知 の 繰り 返し で 世界 と 自分 を 繋げて います。

 認知症 とは、この 正しい 認知 が 出来 なく なる こと です。 です から 認知
に 障害 が 起きて いる「 認知 障害 」なの です。

 朝 起きて 目 覚めた 時 に 自分 の 居る 場所 が 分から なく ても、認知症 で な
い人 は 少し 考えれ ば「 ああ、昨日 は ホテル に 泊まった んだ 」など と 認知
でき ます。
 道 で 迷って も、先程 の ように 状況 を つかんで 対処 する ことが 出来ます。
 しかし 認知症 の 場合、ここは 何処 で、自分 は 何故 ここに 居る のか という
状況 の 理解 が 出来 ません。 そのため、どう すれば いい のかも 分から ない
で いる 状態 です。
 認知症 の 人 が 外 に 出て 帰って こられ ずに ウロウロ さ 迷う「 徘徊 」も、
正しい 認知 が 出来 なく なって いる から で、決して 自分 の 家 を ” 忘れた ” か
ら では ありません。

 認識( この 場 は 何処 か )・ 理解( この 場 と 自分 の 関係 )・ 判断( ど
う する べき か )が「 認知 」で ある という ベース を 踏まえて おけば、徘徊
や 異食、放尿癖 や 暴力 と いった 認知症 で 起きる 行動 の 殆ど は 理解 できま
す。


 記憶 の 障害 など では なく、認知 に 障害 が 起きて いる のだ という ことも
お分かり いただける はず です。


   竹内孝仁 ” ボケの8割は「水・便・メシ・運動」で治る ” より  




 

「 物 忘れ は 認知症 の 始まり 」では ない 
 認知症 は 大きく 誤解 されて います。
 多くの人 が「 自分 も 認知症 が 始まった のでは ないか? 」と 思い 始める の
は、どのような 時 でしょうか。 おそらく ” 忘れる ” 回数 が、格段 に 増えた と
感じた 時 でしょう。

 何かを しようと していた のに 思い 出せ ない。 今日 が 何日 の 何曜日 だっ
たか 直ぐに 出て こない。 3 日前 に 何を していたか 思い 出せ ない。
 このような 症状 は、所謂「 物 忘れ 」と 呼ばれて いる ものです。

 「 認知症 は、この 物 忘れ が 酷く なった 状態 の こと。 従って 酷い 物 忘
れ は 認知症 の 始まり なのだ 」と 多くの 人 が 思い 込んで います。

 認知症 に 対する 誤解 は、正に この「 物 忘れ は 認知症 の 始まり 」から 生
じて いると 言っても 過言 では ありません。
 実際 の 医療 や ケア の 場 でも、
認知症 は 記憶 障害 によって 起こる との 立ち 位置 から 出発 して 認知症 を 捉
えて います。

 病院 の 認知症 外来 に「 物 忘れ 外来 」などと 名前 が つけられて いる のが
証拠 でしょう。 そんな 看板 を 見たら、「 物 忘れ が 酷く なると、認知症 に
なるん だな 」と 皆さん、誤解 して しまい ます よね。

 しかし、物 忘れ は 健康 で あっても 起こり ます。 年齢 も 関係 ありません。
小学生 にだって 物 忘れ は あります。

 物心 ついて から 死ぬ まで、誰に でも 物 忘れ は 起き ます。 ある 意味、人
間 に とっては ごくごく 普通 の 現象 なの です。 程度 が 酷く なったから とい
って、即 認知症 に 結びつく わけ では ありません。


「 記憶力 テスト 」は 認知症 の 判断 基準 に ならない!
 
 試しに、次 の テスト を やって みて ください。

① 今日 は 何年 の 何月 何日 ですか? 何曜日 ですか?
 
② 次 の 言葉 を 覚えて ください。
  桜  猫  電車
  梅  犬  自動車

③ 次 の 数字 を 覚えて、本 を 見ずに 逆から 言って ください。
  6 ― 8 ― 2
  3 ― 5 ― 2 ― 9

④ 100 から 7 を 引いて 下さい。そこから 更に 7 を 引き、そこから 更に
  7 を 引いて ください。

⑤ 知っている 野菜 の 名前 を できる 限り 多く あげて ください。

⑥ 設問 ② で 覚えた 言葉 を、本 を 見ずに もう 一度 言って ください。

 
どう でした か? スラスラ  答え られた でしょう か。
 この 本 を 読めている という こと は、皆さんは まだ 認知症 では ない はず で
す。 それでも 時間 を かけずに 全問 スラスラ 答えられた 方 は そう 多くは ない
でしょう。 設問 ③、設問 ④、設問 ⑥ は 特に「 あれ、何 だっけ? 」と なった
のでは ないでしょう か。

 この テスト は、認知症 か どうかを 判断 する 際 の 目安 として、必ずと 言って
いいほど 現場 で 用いられて いる「 改訂・長谷川 スケール 」という テスト を 少
し アレンジ したもの です。

 見て おわかり の とおり、テスト は 全て 記憶力 を 問う もの です。 「100
から 7 を 引く 」には 計算 も 入って きますが、引いたとき の「93」や「86」
という 数字 を 覚えて いないと 次の 計算  が 出来 ません。 従って、これも 記憶
力 の テスト なの です。
 正確 に 行う 場合 は、ペン、腕時計、鍵など、全く 関係性 のない 品物 を 5つ
見せてから 全て 隠し、何が あったか を 答え させる トリッキー な 設問 も 加わり
ます。

 物 忘れ の 程度 を テスト して、点数 が 悪い と 認知症 だと 診断 される。 そ
れに よって 次々と 認知症 が つくられて いく。 しかし、誤診 も 多い。 これが
現在 の 認知症 の 実態 です。


 こんな 馬鹿 げた 物 忘れ テスト を、認知症か どうかの 判断 基準 に 用いて いる
国 は、世界 でも 日本 だけ です。 残念 としか 言いよう が ありません。 


   竹内孝仁 ” ボケの8割は「水・便・メシ・運動」で治る ” より  

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