腸内細菌 は、肥満 糖尿病 の発症や進行に関与することが報告されている。哺乳動物が自分では
分解できない食物繊維 を腸内で分解し、健康に良い短鎖脂肪酸 を合成していることが報告されるなど、
腸内細菌がもたらす健康効果のメカニズムも解明されつつある。

 ポルトガルのシャンパリモード未知問題研究所のカルロス・リベイロ博士らの研究チームは、腸内細
菌が指令」を出して食べ物の嗜好 食欲 コントロール している可能性を示唆し、話題を呼ん
でいる。

 野菜 を多く摂取する食生活が推奨されている。あくまで研究からの推測だが、食物繊維 の豊富な食事
善玉菌 を増やすので食欲や食事の嗜好が無理なく自己制御 される一方、加工食品 中心の偏っ
た食生活は腸内の悪玉菌 を増やし、食欲 制御できなく なっているのかもしれない。

 食物繊維が豊富な食事や特定のプロバイオティクス (腸内細菌に有益な効果をもたらす微生物 )が多く
含まれる発酵食 などの食事で食欲が制御 され、理想体重を維持 できるなら新しいダイエット のアプローチ
として注目に値する。

 カナダのマクマスター大のプレミスル・バーシク博士らの研究チームは、特定のプロバイオティクス うつ
の症状を和らげる効果があることを示し、さらなる話題を呼んでいる。

 44人の過敏性大腸炎 の患者を2群に分け、一方にはビフィドバクテリウムロングム という特定のプロバイ
オティクスを10週間摂取させ、他方にはプロバイオティクスが含まれない偽薬 を投与。その前後でうつ病
コア
機能的磁気共鳴像化装置 (f MRI)で検討した。

 過敏性大腸炎 の患者は腹痛、下痢、便秘 などの消化器症状 に加えて、不安 うつ などの精神的症状
高頻度で合併 することが知られている。

 プロバイオティクス治療 の結果、6週間後にうつ病スコア が改善した患者はプロバイオティクス群 で22人中
14人(64 %)であったのに対し、偽薬群 では22人中7人(32 %)で、特定のプロバイオティクスがうつ症状
改善に効果があることが分かった。

 うつ症状 が改善した過敏性大腸炎 の患者の f MRI 検査では、扁桃核 前頭辺縁系 と呼ばれる感情を制
している特定の脳領域 で、恐怖刺激 に対する過剰反応 抑制 され、正常化 していることが分かった。

 うつ病 を発症すると扁桃核や前頭辺縁系で恐怖反応が異常増幅 することにより自律神経の調節が乱れ、
動悸、下痢、腹痛 などを引き起こす。
  うつ病 認知症の要因 にもなるので、腸内環境を整えて気分を明るく保つ ことが重要だ。

                             
                             新聞記事  Dr.白澤 の ”100歳への道” より抜粋