緑黄色野菜 の摂取と 動脈硬化やガン などの 生活習慣病の予防効果 の関連性について
は多数の研究報告がされてきたが、認知機能 との関連性についての報告はあまりなかった。

 緑黄色野菜 に含まれる栄養素 ルテイン は、目の網膜 神経を保護 する働きがあること
が知られている。
 米イリノイ大のナイマン・カーン博士らの研究で、ルテイン の濃度の高い人は 中年期 にお
いても 認知機能の加齢性変化 が遅いことがわかり、話題を呼んでいる。

 研究チームは25~45歳の 健常人 を対象に、点滅光への反応性 から 網膜のルテイン濃
を計測。一方、脳の認知機能 注意力作業中の脳波 を解析して測定した。
 具体的には、右向きや左向きの矢印がランダムに表示されるコンピューター装置を使い、右
向き矢印のみに注目するという 「フランカー課題」 を解く被験者の作業中の 脳波のパターン
を解析した。

 その結果、網膜のルテイン濃度 が高い被験者は年を取っても フランカー課題 作業中の脳波
は若者と同様のパターンを示し、脳の神経活動の加齢性変化 が極めて少ないことが分かった。

 網膜 と同じく、でも ルテイン 神経細胞を保護し加齢性の細胞障害が抑制 された結果、
中年期でも若者と同様に 注意力や集中力が保持 されたとカーン博士は考察している。

 ルテイン については従来、高齢者の認知機能低下 との関係が調査対象だったが、今回の調
査で 脳の神経活動 中年期から加齢性変化 を示すことが明らかになった。

 ルテイン は人の 体内で作れない栄養素 で、緑黄色野菜 のほか 卵やアボガド などに豊富に
含まれている。中年期や高齢期の 注意力、集中力 を保つためにも、若い頃から ルテイン を多
く含む食材を積極的に摂取したい。
                                                          <白澤卓二・お茶の水健康長寿クリニック院長>
              
                         新聞記事 Dr.白澤 100歳への道 より転載