腸内細菌叢 は、潰瘍性大腸炎 などの 消化器疾患 のみならず 肥満や糖尿病 などの 代謝性
疾患自閉症 などの 精神神経疾患アトピー性皮膚炎 などの 免疫疾患 とも関係している。

 アフリカのタンザニアで 狩猟採集生活 をするハッザ族の 腸内細菌叢 多様性 に富む。 ハッ
ザ族には 自己免疫疾患を発症する人がいない ことから、この 多様性が予防に関与 しているの
ではないかと考えられている。

 そんな中、米スタンフォード大医学部の ジャスティン・ソネンバーグ博士 らの研究チームは、
ハッザ族の腸内細菌叢に 季節的変動 があり、毎年、雨期と乾期のサイクル を繰り返している
ことを明らかにした。

 ハッザ族の 食生活 は、雨期 ベリー類やハチミツ を採集し、乾期 には 狩猟で捕らえた動
を食べるという 変動 がある。研究チームは188人のハッザ族から計350の 糞便サンプル
を収集して、腸内細菌叢の変化と食事との関連性 を検討。

 その結果、バクテロイデス と呼ばれる種類の 細菌 雨期 になると約70%が 消失 するが、
乾期 になると 消失した細菌叢 の約78%が 再び出現 することを見出した。

 更にハッザ族の腸内細菌叢を先進16か国の18人の腸内細菌叢と比較すると、食物繊維 な 
どの 植物性炭水化物を消化するバクテロイデス などの 細菌の多様性 は、ハッザ族の方が
顕著だった。 ハッザ族の腸内細菌叢の 季節変動 も、季節ごとの食事内容 に対応できる 消化
能力の変動 と何らかの関連性があると考察された。

 現代人 は、食生活で 食物繊維 などの 植物性炭水化物 が減り、精製炭水化物の糖質
増えた結果、腸内細菌叢の多様性 を失ったと ソネンバーグ博士は指摘する。
 食物繊維が豊富な季節の野菜 を摂取することにより、多様な腸内細菌叢 を維持することが
重要だろう。
                         <白澤卓二・お茶の水健康長寿クリニック院長>

                      新聞記事  Dr.白澤 100歳への道 より転載