除去出来れば抑制も?
 年を取ると 細胞 老化 する。 老いた細胞 は体内に蓄積し、生理的機能 が徐々に低下する。
老化細胞 炎症性物質 を分泌して 糖尿病、心血管疾患、ガン、認知症、関節炎 の進行を加
速すると考えられている。

 米スクリプス研究所のポール・ロビンズ博士らは、老化細胞 では 細胞死プログラム が抑制さ
れているために、細胞 が機能できなくなった後も 細胞死 が誘導されず、老化 を促進するメカニ
ズムを研究している。

 その中で、再び 細胞死プログラム のスイッチを入れる薬剤、つまり 老化細胞除去薬 の開発
に取り組み、特に 熱ショック蛋白質 ( 傷んだ細胞を保護・修復する蛋白質 ) 阻害薬が 老化細
細胞死プログラム を誘導することに着目。

 この薬剤を 早老症マウス に投与したところ、老化細胞 の数が減少し、筋力減少、歩行障害、
骨粗しょう症 といった 加齢 に伴う症状が改善した。

 ロビンズ博士は、健康寿命 のような長期的評価を必要とするヒトでの臨床試験は難しいので、
老化細胞 の蓄積によってもたらされる 認知機能低下、骨密度の低下 虚弱 などを評価項目
にした臨床試験を立案することの重要性を力説している。 将来、これらの 薬剤 が試験を終えて
臨床現場に登場するには時間がかかりそうだ。

 一方、米メイヨークリニックのジェームズ・カークランド博士は、ケルセチン のような 野菜の成分
にも 老化細胞 細胞死プログラム を誘導する 薬理学的効果 が認められている点を指摘する。

 ケルセチン タマネギの皮 リンゴ、サニーレタス、ブロッコリー、モロヘイヤ などに含まれ
ポリフェノール で、様々な 健康効果 が報告されてきたが、老化細胞除去作用 も、そうした効
果を生む メカニズム の一つだったのかもしれない。
                                                           (白澤卓二・お茶の水健康長寿クリニック院長)
                         新聞記事 ” Dr.白澤 100歳への道 ” より 転載