少量なら脳から毒素排除?
 前回のコラムでは 重度飲酒 認知症 の重大なリスクになるという話題を紹介した。 一方、
少量の アルコール 摂取にはむしろ健康効果があり、心血管疾患 ガン の発症リスクを減少さ
せるとの報告が多数ある。

 赤ワイン については 認知症 心臓病 の予防効果も報告されているが、従来の研究は 赤ワイ
に含まれる ポリフェノール などアルコール以外の科学物質に注目していた。

 しかし、米ロチェスター大医療センターのネデルガード博士らの研究チームは、アルコール
少量 の摂取ならば に溜まった 毒素 を排除する直接作用があることを明らかにして話題を
呼んでいる。

 チームは マウス 少量 アルコール (人に概算してワインで グラス約2杯 相当) を摂取した
場合と、大量 アルコール (ワインで ボトル約1本 相当) を摂取した場合の 脳のリンパ液
廃物
除去効率  を比較した。

 その結果、少量摂取群 では、非摂取群 に比べ、除去効率 が  約40%  増加。 逆に、大量摂
取群 では 約28% 減少 していることが分かった。 アルコール 投与後1ヶ月が経過すると、大量
摂取群 のマウスは 認知機能 運動機能 が低下していたが、少量摂取群 のマウスはいずれも正
常だった。

 既にネデルガード博士の研究室で、老廃物 睡眠中 に除去されていることが明らかにな
っている。 このことは、睡眠不足 認知症 のリスクになっている理由の一つかもしれないと博士
は考察している。

 今回の アルコール摂取 に関する研究は マウス で検証された段階なので、で再現できるかは
不明だが、もし博士の理論が正しいとすれば、夕食に グラス2杯 程度の 飲酒 をして良い 睡眠
取ることが出来れば、次の日の朝には から 老廃物 が除去されてすっきり目が覚めるのかもし
れない。
                                                                   (白澤卓二・お茶の水健康長寿クリニック院長)

                       新聞記事 Dr.白澤 ” 100歳 への道 ” より 転載