散歩など軽い身体活動で効果
 厚生労働省は2013年にライフステージに応じた健康づくりを推進する目的で 「 身体活動基
2013
」 を発表した。 

 18~64歳は 中強度 以上の 身体活動  ( 歩行 またはそれと同等以上の 身体活動 ) を毎日
60分、あるいは中強度以上の 運動  ( が弾み をかく程度の 運動 ) を毎週60分行うよう基
準を改定。 65歳以上には 強度 を問わず 身体活動 を毎日40分実践することを勧めている。

 確かに、中年期は 生活習慣病 の予防が重要であるのに対して、高齢期は 認知症や骨粗しょ
う症 といった 退行性変性疾患 の予防に重点が移行する。 高齢期は 体力 が低下するので基
準も下げる必要があるが、どの程度の 身体活動 であれば 疾患 が予防できるかは必ずしも正
確には理解されていない。

 そんな中、ロンドン大のバーバラ・ジェフェリス博士らの研究チームは、毎日30分でもガーデ
ニングや犬の散歩といった 低強度 身体活動 により、高齢期の 死亡率 が下がることを明らか
にして話題を呼んでいる。

 研究チームは71~92歳の男性計1181人を対象に活動量計を用いて 身体活動量 を測定し、
死亡率 との関連性を5年間にわたり追跡調査した。

 期間中に194人が死亡したが、身体活動 死亡率 との関連性を解析した結果、毎日30分の
低強度 身体活動 を余分に行うごとに 死亡率 が17% 低下、座位 が30分増加するごとに
が17% 増加した。 しかし、中強度 から 強度 身体活動 が10分増えても 死亡率 は10%
しか低下していないことが分かった。

 これまでのガイドラインで強調されてきた10分間の 中強度 以上の運動に関しては、低強度
身体活動 を上回るメリットを確認出来なかった点をジェフェリス博士は強調する。 年をとったら
無理をせずに、出来る範囲の 低強度 日常身体活動 を続けることが大事だろう。

                             (白澤卓二・お茶の水健康長寿クリニック院長)

                     新聞記事 Dr.白澤 ” 100 歳 への道 ” より 転載