十分な睡眠時間の確保を
 重金属汚染 カビ 感染、小麦粉に含まれる グルテン 睡眠不足運動不足 などが アル
ツハイマー病 の病因になることが最近の研究で明らかとなり話題を呼んでいる。

 睡眠不足 の原因として、夜遅までパソコンに向かい ネットサーフィン をしたり、オンデマンドの
映画 を見たりしている人も多い。 しかし、アルツハイマー病 を予防したければ、これからは 徹夜
は避けた方が良さそうだ。

 米国国立衛生研究所のノラ・ボルコウ博士らの研究チームは に蓄積した 「 ゴミ 」 である β ア
ミロイド蛋白 睡眠中 に掃除され アルツハイマー病 の発症を予防するメカニズムに注目した。
これまでに、ネズミで 睡眠時間 を制限すると での β アミロイド蛋白 の蓄積が増加し、アルツハ
イマー病 が進展することが報告されていた。

 今回、研究チームは ヒト でも 徹夜 した時に β アミロイド蛋白 の蓄積が増加することを臨床
試験で確認した。 研究チームは22~72 歳の男女20人を対象に 一晩徹夜 をする前後で β アミ
イド蛋白
の蓄積変化を PET ( 陽電子放射断層撮影 ) スキャンで可視化し、その 変化量 を計測し
た。

 その結果、1回の徹夜で 右脳 海馬 視床 β アミロイド 沈着が20人中19人で増加している
ことが判明。 同対象者で 睡眠時間 β アミロイド 沈着量の関連性を検討した結果、睡眠時間
短かった対象者は両側の 被殻、海馬傍回右脳 楔前部 β アミロイド 沈着が多い傾向を見い
出した。

 最近の研究では、アルツハイマー病 初期病変 50歳 前後で始まると報告されているので、
中高年期 睡眠不足 徹夜 アルツハイマー病 の発症を早めている可能性をボルコウ博士
は指摘する。

 中高年期 徹夜 を避け十分な 睡眠時間 を確保する健康上の理由が、一つ増えたようだ。

                              (白澤卓二・お茶の水健康長寿クリニック院長)

                      新聞記事 Dr. 白澤 ” 100 歳 への道 ” より 転載