老化 が進むと、骨のカルシウム分 ( 「 骨量 」 という ) が減って、「 骨粗しょう症 」 になります。 
骨質 が薄くなり、骨が スカスカ になるのです。

 骨粗しょう症 は男性より 女性 の方がなり易いですが、それは女性の 骨量 がもともと少ない上
に、閉経 ホルモンバランス が変化するからです。 女性ホルモンの エストロゲン には、骨芽
細胞 の機能を活性化させる働きがあり、閉経後 に急に エストロゲン が減少すると、それまで維
持していた 骨量 が保てなくなるのです。

 牛乳 には カルシウム が多く含まれるので、骨粗しょう症 の予防になると考えている人も多い
でしょう。 しかし、それは間違いです。

 アメリカで行われた大規模調査では、高齢者 の場合、牛乳 を多く飲む人の方が、男女とも
関節 骨折 が多いという結果が出ています。 そのためアメリカでは、1998年から、牛乳
骨粗しょう症 の予防をというコマーシャルが行われなくなりました。

 日本でも、2003年から、牛乳 の宣伝から 骨粗しょう症 の予防が消えたようですが、そのこと
はあまり知られていません。 牛乳 には勿論良い面もありますが、誤った効用がそのままに放
置されているのは問題でしょう。

 では、何故 牛乳 を多くとると 骨折 し易くなるのでしょう。 その理由は、牛乳 を飲んで 血液
ルシウム濃度 が急激に上がると、逆に 排泄 が進み過ぎ、それを補うために、カルシウム
が溶けて、血液 に流れ込むからです。 カルシウム 心臓 脳、筋肉 の活動に重要な働きを
するため、身体 が常に一定の 濃度 を保とうとして、過剰反応 が起きてしまうのです。

  カルシウム を摂り過ぎると、腎臓結石 などが出来やすいという 俗説 もありますが、これも逆で、
結石 カルシウム不足 の人の方が出来やすいことが分かっています。 慢性に カルシウム不足
が続くと、副甲状腺ホルモン が分泌され続け、から 血液 に過剰に カルシウム が供給されて、
濃度が上がるためです。 これを 「 カルシウム・パラドックス 」 といい、最近、注目されています。

 同様の理由で、カルシウム サプリメント などで摂ることも進められません。 カルシウム が足
りないと、子供は キレ やすくなるとか、高齢者は 骨粗しょう症 になるとかよく言われますが、カル
シウム の摂り過ぎは 高カルシウム血症 となり、血管、脳、膵臓 などに カルシウム沈着 が起こっ
て、動脈硬化、認知症、糖尿病 の原因になります。

 望ましい カルシウム の摂取は、野菜 小魚 から、継続して 適量 を摂ることです。 すなわち、
ランス のとれた 普通 食事 が一番ということ。 少しでも 健康 にとか、アンチエイジング とか
いう を出すと、武器を売る 死の商人 ならぬ、 健康商人 につけ込まれて、かえって 健康
を損ねかねません。

                                                                     久坂部 羊 著 ” カラダはすごい!” より