健康診断 は法律で 義務 づけられているので、企業などでは毎年、従業員に受けるよう指導
しています。 しかし、健康診断 をすれば 寿命 が延びるというデータはありません。 やった方
がいいだろうという 思い込行われているのです。

 果たして、それは正しいのでしょうか。

 かって、フィンランド で興味深い実験が行われました。 フィンランドの保健局が、40~45歳
の似たような立場の人(上級管理職)1200人を、二つのグループに分け、片方には年二回の
定期健診 栄養学チェック に加え、飲酒、喫煙、糖分 塩分 の摂取を制限してもらい、もう
一方は 自由 にさせて、15年間の 追跡調査 をやったのです。

 すると、驚いたことに、健康管理 を厳重にしたグループの方が、自由 にさせたグループよりも、
1.45倍も 死亡者数 が多かったという結果が出ました。 高血圧 心疾患、ガン、自殺 なども、
健康管理 を厳しくしたグループに多く見られました。

 理由はいろいろ考えられますが、まずは 健康 のため様々な制約が ストレス となり、免疫力
どが低下したことがあげられます。 他に、健康診断 を受けると、念のため 精密検査 を受けさせ
られることがよくあり、そのたびに検査の予約から結果が出るまでの数週間、強い ストレス にさ
らされることが考えられます。

 この 実験 には当てはまりませんが、自発的に 健診 を受ける人は、正常 を確認しなければ安
心出来ない ネガティブ思考 で、その ストレス が知らないうちに 寿命 を縮めている可能性もあり
ます。

 勿論、健診 のおかげで 病気 が早期発見でき、大事に至らなかった人もいるでしょうから、健診
は受けなくてもいいと言っているわけではありません。 しかし、健診 健康管理 を厳重にやり
過ぎることが、心身 ともに悪い影響を与えるのは事実でしょう。

 似たようなことは、ガン健診 にも言えます。 政府は ガン健診 の受診率を上げることに熱心で
すが、これも単なる 思い込による可能性が大です。

 例えば、アメリカ で15万人を対象にした13年間にわたる大規模調査で、年に一回の 胸部レ
トゲン検査
を受けても、肺ガン の死亡率が下がらないことが証明されています ( 2011年米医師
会雑誌電子版 )。 他にも 乳ガン 子宮体ガン、前立腺ガン など、検診 の有効性が十分証明さ
れないものもありますし、定期的な 胃ガン検診 もアメリカでは国立ガン研究所が 「 推奨しない
としています。

 日本 では、ガン検診 を受けると ガン で死ぬリスクが 30~50 % 減るという研究もありますが、
これには客観性に問題ありとの指摘があります。 ガン検診 の有効性を示すデータを出している
のは 日本 だけで、国際的には ガン検診 を実施している国はほとんどないのが実情です。

 その一方で、2004年に イギリス のオックスフォード大学で行われた研究では、日本 ガン にな
る人の 3.2 % が、レントゲン検査 などで浴びる 放射線 が原因だという結果が出ています。 イギリ
は 0.6 %、アメリカ は 0.9 % で、日本 は調査対象15 カ 国中、ダントツ の一位だそうです ( 二
位の クロアチア で1.8 %。 但し、検査で ガン になったかどうかの判定には 疑問 があります )。

 原発事故 による 被曝 も軽視はできませんが、毎年、CTスキャン バリウム検査 放射線
浴びている人は、ガン に注意した方がいいでしょう。

                                久坂部  羊 著 " カラダはすごい ! " より