年をとってから、夕方になると むくんだり下肢 動脈硬化 のため長距離を歩けない
という症状で悩んだりしている人は多いと思う。 末梢循環不全 による 浮腫 動脈硬化 によ
間欠性跛行 など、血管 加齢性変化 に由来する症状が生活の質に影響しているのだ。

 そんな中、ネズミ の実験ではあるが、毎日の ストレッチ 血管 を若々しく維持して 末梢循
を改善し、血管 拡張機能 を改善させる効果があることが分かった。

 堀田一樹博士も参加した米フロリダ州立大医学部の研究チームは、培養した 血管 内皮
細胞 を試験管内で伸展させると、血管 を拡張させる物質や 毛細血管 を新生させる因子を分
泌することに着目。 ストレッチ でも同様の変化が起きるかどうか ラット の実験で検証を試み
た。

 研究チームは 高齢ラット 下肢 に1日30分、週に5日間、1ヶ月にわたり副木を当て ストレ
ッチ を強制。 その前後で、安静時及び運動時の 血流、血管拡張物質、毛細血管新生因子
を測定し、CT スキャンで 毛細血管 の形態を撮影した。

 その結果、ストレッチ を強制しなかった群と比べると 内皮細胞由来 血管拡張物質 が増加
し、運動時の 血流 が増加していることが分かった。 更に 毛細血管新生因子 も増加し、CTス
キャンでは新たな 毛細血管 が新生して 血管容積 が増加していることも確認された。

 高齢期 には 血管 の柔軟性が失われるため 浮腫 が生じたり、血流障害 による 歩行障害
起きたりするが、今回の研究により簡単な ストレッチ でこれらの 障害 を予防できたり改善した
りする可能性が示された。 

 忙しくて定期的な 運動 が出来ない人でも、部屋の中で簡単な ストレッチ をすることにより
歩行障害 の予防や改善が出来そうだ。 

                           (白澤卓二・お茶の水健康長寿クリニック院長)  

                    新聞記事 Dr. 白澤  ” 100 歳 への道 ” より  転載