生活習慣 の見直しを
 厚生労働省の調査によると、全国で1010 万人が 高血圧性疾患 を有し、男女別では男性
が 44 % 、女性が 56 % を占めている。

 高血圧 を治療せずに放置すると 血管 が傷つき 動脈硬化 が進展し、脳梗塞 腎不全
どを引き起こす。 一方で、認知機能 にも影響を及ぼすことが知られていて、認知症 発症
スク の一つと考えられている。

 そんな中、イタリア IRCCS 研究所のジュゼッペ・レンボ博士らの研究チームは、高血圧
続くと 白質 と呼ばれる領域に 形態学的 な変化が起き、実行機能 などの 認知機能
低下させることを明らかにした。
 
 研究チームは 認知症 を有しない 高血圧症患者 23 人と 血圧 が正常な対照群 19 人の中
高齢男女を対象に、心臓エコー検査、の磁気共鳴画像化装置 ( MRI ) 検査及び 認知機
の検査を行い、高血圧 の構造上の変化や 認知機能 との関連を調べた。

 その結果、血圧 が高い患者は 心臓 左心室 の壁が肥大し、白質 に構造異常が認
められた。 白質 神経細胞 細胞体 に乏しく、主に 神経線維 が集積し走行している領域
で、動脈硬化病変 が進展すると MRI異常信号 として検出されることが知られている。

 今回の研究で、高血圧患者 構造異常 が検出された 白質領域 は、前視床放線束、上縦
束、脳梁の小鉗子束 の 3 カ 所だった。 また 認知機能検査 では、実行機能、処理速度、記
憶力 の機能が対照群に比べ劣っていた。

 レンボ博士はこれらの の領域が 高血圧 の影響を受け易い部位で、実行機能 などの
頭葉機能 に関与すると考察する。

 中年期から高齢期にかけての 高血圧 は、塩分 を減らしたり、定期的な 運動 を心掛けたり、
ストレス を減らしたりすることで改善することが多い。 認知機能 を維持するためにも 血圧
高めの人は 生活習慣 の見直しが必要だろう。

                                                                   (白澤卓二・お茶の水健康長寿クリニック院長)

                   新聞記事 Dr. 白澤 ” 100 歳への道 ” より 転載