に共通する要素
 は、全身の全ての器官の司令塔です。
 が機能しないと、他の器官も機能しなくなることから、「 進化の過程で最初にできたのは
」 だと思いがちです。

 しかし、の成り立ちを 脳神経 から見ていくと、実は 感覚器 の方が先で、それから
作られたことがわかります。

 人間に限らず 脊椎動物 ( 背骨を持つ動物 ) は、みな 兄弟 です。

 脊椎動物の の部分には、共通して 「 」 と 「 」 と 「 」 と 「 」 を含む 「 」 が
あります。 消化管 の入り口ですが、他の器官は全て 感覚器 です。 これらのパーツ
が揃っていると、私たちは 「 」 と認識します。

 犬でも猫でも 「 」 とわかりますし、象のように が長くても 「 」 だとわかります。 つま
り、目と鼻と耳と口 がある 脊椎動物 に共通する要素であり、それが をつくる要因に
なったことを物語っています。

 以外の場所に 目も鼻も耳も口 もありませんから、感覚器 のある特別な場所といえ
ます。

は刺激に対応する
 実際に、進化の過程を大雑把に見ると、から下の が繋がっている部分の一番前方に、
まず 目と鼻と耳と口 ができました。 もともと は 「 消化管の入り口 」 としてあったために、
そこに  覚器 が加わったことになります。

 の前方に 感覚器 を集めたことで、中枢神経系 の前方の端に、感覚器 からの情報を受け
取る場所ができました。 感覚 の刺激が入ってくるので、その情報を処理するために 中枢神経
の前方部が膨らみ始めます。 ーーー これが です。

 つまり、は体の前方に 感覚器 を集めたことで、その情報を処理するために生まれたと考え
られるのです。

 私たちの は、刺激を受けると、それに対応するために発達します。 生まれたばかりの
ちゃ
も、周りからの様々な刺激により、を成長させます。 実際に、を閉じて育てた
は、途中で を開いても、もはや物を見ることはできません。 それは、視覚 を発達させ
る部分が成長しないからです。

 感覚 の刺激を受ければ受けるほど、体の前方部分が大きくなって になるわけです。 それ
が、私たちの の由来です。

人間には魚の エラ の名残がある
 私たちの体に を作った要因は、感覚器 だけではありません。 もう一つ、エラ の存在も大き
な要因になっています。

 六億年 以上も時間を遡りましょう。

 私たちの祖先は のような形をして、水の中を泳いでいました。 その体が、六億年 という時
間をかけて、人間 の体に進化してきました。 魚の時代に ヒレ だった部分が、やがて私たちの
手足 になります。

 それでは、呼吸 のために使っていた エラ は、一体何に変わったのでっしょう。

 人間の 胎児 は、ごく初期には 五ミリ くらいの大きさしかありません。 その姿をよく見ると、
と首 のあたり、ちょうど ノド に当たる部分に 団子 のようなものが並んでいます。 この形は 人間
だけではなく、の胎児にも見られます。
 この 団子 のようなものが成長すると、の場合は エラ になるのです。

 つまり、人間 の胎児の ノド の当たりにある団子は、もともと エラ になるべきものだったのです。

 ところが人間の場合は、エラ として使っていたものを、進化の過程で別の用途に転用しました。

 エラ の部分には、神経 血管 が通っています。 その エラ に行くはずだった 神経 を、私たち
脳神経 の一部として使っているのです。
 
 からは、12本の 脳神経 が出ています。 そのうちの3本は、感覚器 である 目と鼻と耳 に行
っています。 残りの9本のうち、5本が エラ に行くはずだった神経です。 顔面神経 三叉神経
舌咽神経迷走神経、迷走神経の付属である 副神経 です。
 残りの4本のうちの3本は、眼球 を動かす神経で、1本は を動かす神経と、全てが 頭と顔
集まっています。

 つまり、脳神経 は、を育てた 感覚器 に行く神経と、エラ に行くはずだった神経、あとはもとも
と備わっていた 筋肉 を動かす神経で構成されているわけです。
 
 このように 脳神経 を見ると、感覚器 エラ ができているという 人間の歴史 がわかるの
です。

                                                                       坂井建雄 著 ” 面白くて眠れなくなる人体 ”  より