には 「 手ぶれ防止機能 」 が備わっている
 電車の中で隣の人が読んでいる新聞や雑誌を、は表面を向いたままで 眼球 だけを動か
して、こっそり覗き見たことはありませんか?

 は、上下左右 と好きな方向に動かして物を見ることができます。 これは、眼球 六つの
筋肉 が付いているからです。 何故 六つも筋肉が必要かというと、が動いても、視線
を一定に保って見えている画像が動かないようにするためなのです。
 
 つまり、「 手ぶれ防止機能 」 というわけです。

 試しに、本を手にとって文字を読みながら、を上下左右 に動かしてみてください。
 
 いかがでしょうか? 
 
 視線 が 本 の同じ場所に固定されて、ちゃんと 文字 が読めますよね。 それでは次に、
動かさずに 本 を 上下左右 にぐるぐると動かしてみてください。
 が追随できなくて 文字 が読めなくなったと思います。 この動きを続けていると、が回っ
気分 が悪くなります。

 「を動かすこと 」 と 「 を動かすこと 」 では、見え方がまったく違うのです。 これには、
だけではなく も関係しています。

 の動きを感じとり、それに合わせて 眼球 を動かす機能が、に備わっています。 
上下左右 に動かすと、の奥にある 「 半規管 」 という場所で 回転運動 を感知します。 この
情報が に伝えられると、からは 「 の動きと逆の方向に 眼球 を回転させるように 」 と、
の筋肉に指令が送られます。

 この 反射 の働きで、が動いても に入る画像が ブレにくく なるのです。
 この 「 手ぶれ防止機能 」 が働くので、私たちは走っている電車の中でも 本 が読めるのです。

のバランスは の中でとっている
 普段は意識していませんが、バランス を保つ 平衡感覚 は重要なものです。 平衡感覚
に問題が発生すると、外界 自分 との位置関係の安定を失って クラクラ した感じを受けます。
それが 「 めまい 」 です。

 平衡感覚 を担っている器官は、の中にあります。

 私たちは、「 半規管 」 という半円形の管が知恵の輪のように三つ組み合わさった 「 三半規
」 と、その中心にある 「 前庭器官 」 で、体の動きを感じ取っています。
 これらは袋のようになっており、感覚毛 と呼ばれる毛が密集した 有毛細胞 リンパ液 が入っ
ています。

 体の動きに合わせて流れる リンパ液 に刺激されて、有毛細胞 が動きを感じる仕組みになって
います。

 三半規管 は主に の回転 に反応しており、前庭器官 は上下左右の 頭の傾に反応してい
ます。 したがって、これらの器官がうまく働かなくなると、平衡感覚 が失われて 視線 も不安定に
なり、歩く ことも困難になるのです。  
 
 は別々の器官と思いがちですが、実は 連動 しているのです。


                           坂井建雄 著 ” 面白くて眠れなくなる人体 ” より