認知機能 に関与
 これまでに多くの 長寿遺伝子 が、土壌中に生息する体長 1㎜ 程の小さな エレ
ガンス線虫 長寿変異株 の遺伝学的研究から発見されてきた。

 ドイツ・ケルン大学のトルシュテン・ホッペ博士らの研究チームは、この 線虫 に存
在する 358個の神経細胞のうち、食べ物の を感知している 2個の 感覚神経細
のうちの 1個である AWCニューロン に着目。 線虫  を感知すると、小腸
の細胞で タンパク質 の分解が誘導されることを発見した。
 
 更に AWCニューロン を介して 小腸細胞での タンパク質分解 が促進されると 線虫
寿命が延び、逆に餌から を除くと AWCニューロン のシグナルが弱くなって タンパ
ク質 の分解が阻害され、老廃物 が蓄積して 線虫 寿命 が短くなることを明らかにした。

 ヒト でも の中の細胞から の刺激が伝わることが知られているが、アルツ
ハイマー病 では 認知機能 が下がる前から 匂い 感じなくなることが報告されている。

 認知機能 が低下する アルツハイマー病 では、異常蓄積する アミロイドβ タンパク質
により 神経細胞 が死んでいくことが報告されているが、タンパク質 の分解が阻害され
アミロイドβ タンパク質 が異常蓄積しているという仮説もある。

 ラベンダー などの には リラックス効果 があり、古くから アロマセラピー など医
療に応用されているが、は直接 を刺激することから 記憶 などの 認知機能 にも関
与している可能性がある。 
 
 ハーブ などを食材として使うと 食欲増進 などの効果があるが、ハーブ に含まれてい
る香り成分が を刺激したり、タンパク質 の分解を促進したりして 認知機能 を維持し
ている可能性がある。

 食品の 認知機能 を高めるための の刺激として再注目したい。
                                                                    (白澤卓二・お茶の水健康長寿クリニック院長)

               新聞コラム Dr. 白澤 ” 100 歳への道 ” より