緑黄色野菜 で リスク減 の報告
 白内障 とは、目 の 水晶体 が濁り、物が 霞んだり ぼやけて 見えたりする 病気 だ。
先天性、外傷性、糖尿病、感染 など、様々な 原因 があるが、多くは 加齢 に伴って
発症し、加齢性白内障 と呼ばれる。

 今のところ有効な 治療薬 は開発されておらず、一旦 発症 して 水晶体 が濁ると 元
には戻らないので、治療 は 手術療法 が主流だ。

 そんな中、食事由来 の ビタミン カロテノイド加齢性白内障 の 発症リスク を
下げるとする、中国・西安交通大 の 公衆衛生学 の ホン・ジャン博士 らの 研究 が 話
題 を呼んでいる。

 博士 らは、食事由来 の 成分 が 加齢性白内障 の 進行速度 に影響を与えることに注
目。 柑橘系果物 や 唐辛子、ニンジン、トマト、ホウレンソウ、ブロッコリー、ケー
ル といった 野菜 の 摂取 と 白内障 との 関連性 を調べた 論文 20 本を 解析 した。

 その結果、食事由来 の ビタミン A の 摂取 が豊富な人は、摂取 の 少ない人 に比べ
加齢性白内障 の 発症リスク が 19 % 減少 していることが分かった。 同じく 食事由
来 の  ビタミン C, E、ベータカロテン、ルテイン、ゼアキサンチン についても、摂取
の豊富な人の 発症リスク は 少ない人 より 10~20 % 減っていた。

 ただし、ビタミン Eベータカロテン サプリメント で 摂取した場合は リスク
は下がらかった。 

 更に 1 日 当たりの 摂取量 と 発症リスク の関係を見ると、食事由来( 以下同 )の
ルテイン 摂取 が 10 ㎎ 増える毎に リスク は 26 % 減少。 ビタミン C は 500 ㎎ 増え
る毎に 18 %、ベータカロテン は 5 ㎎ 増える毎に 8 %、リスク が減っていた。 ビタ
ミン A, C、ベータカロテン、ルテイン緑黄色野菜 に多い。

 加齢性白内障 を 予防 するためにも、厚生労働省推奨 の「 野菜 は1日 350 g 以上、
そのうち 緑黄色野菜 を 120 g 以上 」が 必要 だろう。

                (白澤卓二・お茶の水健康長寿クリニック院長)

             新聞コラム Dr. 白澤 ” 100 歳への道 ” より