糖尿病 リスク 減らす 可能性
 「『 いつものパン 』があなたを殺す 」( 三笠書房 )の 著者 の 一人、デイビット・パ
ールマター博士 は 精製 された 小麦粉注意欠陥多動性障害ADHD )や うつ などの 精
神疾患、不眠、糖尿病肥満 などの 生活習慣病、認知症 との 関連性 について 警鐘 を 鳴
らしている。

  一方、全粒パンライ麦パン は 栄養価 が高いうえに 麦 の 旨味 も 味わえるので、健康
意識 が 高い人達 に 人気 がある。

 そんな中、ライ麦パン を食べると 血中 の セロトニン濃度 が 低下 して 糖尿病 の リスク
を減らす、との 国際ガン研究機関 の ペッカ・ケスキラコーネン博士 らの 論文 が 話題 を
呼んでいる。

 研究チーム は フィンランド人 の 健常 な 成人男女 15 人 を 対象 に、小麦パン を 4 週間
摂取した後と 全粒ライ麦パン を 4 週間 摂取 した後に 採血 をして、血漿中 の 代謝産物 の
量 を 比較・検討 した。

 その結果、セロトニン、タウリン、グリセロホスホコリン の 血中濃度 が、全粒ライ麦パ
摂取後に 有意 に 低下 することが分かった。

 セロトニン は 脳内 の 神経伝達物質 として知られるが、体内 に存在するうちの 90 % は
消化管粘膜 で 合成 され、脳内 の セロトニン は 全体 の 2% に過ぎない。 これまでの研
究で セロトニン蠕動運動 の 高進 に作用し、過剰分泌 は 下痢 を引き起こし、過敏
性大腸炎 では 分泌 が 高進 しているという 報告 がある。

 また セロトニン の 過剰分泌 は 耐糖能異常 をもたらし、糖尿病 の 発症リスク になると
の 報告もある。 ケスキラコーネン博士 は ライ麦パン の 健康効果 の メカニズム として、
血中セロトニン濃度 の 低下 で 糖尿病予防整腸作用 が 導かれる 可能性 を 指摘 する。

 ライ麦パン は 栄養学的 にも ビタミン、ミネラル、食物繊維 が 豊富 で、高齢期 の 認知
機能 を 維持 するためにも お勧めしたい。

                   (白澤卓二・お茶の水健康長寿クリニック院長)

              新聞コラム Dr. 白澤 ” 100歳への道 ” より