ミクログリア 」は の 細胞の 5~20 %を占め、神経組織 が 傷害
を受けると、その 修復や、老廃物、異物 を除去する 作用 があることか
ら、中枢神経 の 免疫細胞 としての 役割 を果たすと考えられている。

 ネズミ の 実験では、ミクログリア が 活性化 すると アルツハイマー病
の 原因物質 とされる アミロイド β タンパク質 の 蓄積を抑え、脳内
炎症 を抑制する 作用が報告されている。


 そんな中、米スタンフォード大 の トニー・ワイスコレイ博士 らの 研究
チーム は、ミクログリア の 細胞表面 にある CD 22 という 分子 を 抑制
することで、老齢ネズミ の ミクログリア を活性化して 認知機能 を 改善
させることに成功し、話題を呼んでいる。 

  彼らは CD 22 の 発現量が の 加齢 に伴い 増えることと、高齢期 に
ミクログリア の 機能 が低下し に 老廃物 が溜まることに 関連性があ
る点に注目。

  つまり CD 22 は ミクログリア の ブレーキ のような役割を果たし、高
齢期 にはそれが 強くなると考えた。 CD 22 を抑制する 抗体試薬 を 高齢
ネズミ に投与したところ、ミクログリア が活性化し アミロイド β
タンパク質 を除去することを 確認した。

 抗体試薬 を 長期間投与 された 高齢ネズミ は、そうでない 高齢ネズミ
に比べ、加齢に伴う 空間記憶低下連想記憶低下 が改善していた。
 
 ワイスコレイ博士 は 加齢 に伴いこの ブレーキ を強めている 内因性物
質 があるのではないかと 考察する。 一方で 抗体試薬 投与 により ブ
レーキ が弱まり ミクログリア が活性化することが 証明されたので、
ルツハイマー病 などの 神経変性疾患 に 臨床応用される 可能性を示唆す
る。

 今回の研究から 脳 に アミロイド β タンパク質 が蓄積する アルツハイ
マー病 の 免疫不全 の一種とも考えることが 可能で、今後の 研究
展開 が 期待される。
                                           (白澤卓二・お茶の水健康長寿クリニック院長)

           新聞コラム Dr. 白澤 ” 100 歳への道 ” より