軽度の 認知障害、改善の報告も
 私が監修した「 アルツハイマー病 真実と終焉 」の著者、デール・プ
レデセン博士は アルツハイマー病 対策 に ケトン体ダイエット を勧めて
いる。 

 米国で1921年から てんかん 治療食 として実践されている ダイエット
で、低糖質ダイエット に ココナツオイル などを組み合わせて血中の
トン体 を維持する食事法である。 肥満、糖尿病、乳がん の 再発予防
などに対する効果も報告されている。

 そんな中、米ジョンズ・ホプキンズ大 の ジェイソン・ブラント博士 ら
の研究チーム は、ケトン体ダイエット が 軽度認知障害(MCI)及び
初期の アルツハイマー病患者認知機能 を改善する 効果 を報告して
話題を呼んでいる。

 研究チームは 認知機能 が低下した高齢者 14人を対象に、9人に ケトン
体ダイエット( 1日の炭水化物摂取量20㌘以下 )、5人に 米国立加齢研
究所(NIA)推奨の ダイエット( 炭水化物の摂取制限なし )を指導。 
そして  ▽ 指導前  ▽ ダイエット実践 6 週間後 ▽ 12 週間後 ーーー の認
知機能 を比較・検討した。

  その結果、数分前に聞いたことや示されたことを思い出す 遅延想起検査
( 総合点14 ㌽ のテスト )で、ケトン体ダイエット に厳格に従った 5 人
は 6 週間後のテストで 平均 2 ㌽ 以上、記憶力 が改善していた。 しか
し、厳格には従えなかった 4 人は 記憶力 が平均 2 ㌽ 低下していた。
 一方、NIA 推奨ダイエット群 は 6 週間後のテストで、記憶力 が平均
2 ㌽ 低下していた。

 ブラント博士は、大規模に 参加者 を募集したにもかかわらず 最終的
に厳格に ケトン体ダイエット に従えた対象者が 5 人であったことから、
認知機能 が低下した 患者 がこの ダイエット法 を続けることの難しさを
指摘する。
 より実践し易い方法を確立する必要があるだろう。

                                                 (白澤卓二・お茶の水健康長寿クリニック院長)

         新聞コラム Dr. 白澤  ” 100への ” より