人間 は一生の約 3分の1の 時間を 睡眠 に充てている。 

 だが、なぜ 眠らないといけないのか、眠気 はなぜ 生じるのかすら、よく分かってい
なかった。 そんな 眠り の 謎 を 解き明かしつつあるのが、筑波大の 柳沢正史教授 ら
の研究チームだ。 昨年、英科学誌「 ネイチャー 」に 発表した 論文が 世界的 な注目
を集めた。

 柳沢 さんらは、化学物質 で 遺伝子 に 突然変異 を起こす手法を使い、睡眠時間 が極
端に 長い マウス の 系統を作った。

 この マウス の と、わざと 寝不足 にした マウス の とで共通して起きている変化
を調べたところ、80種類 の タンパク質 で、リン酸化 と呼ばれる 反応 が進行していた。
 
 これらの タンパク質 の大半は、睡眠 によって回復するとされる の シナプス の構造
や機能に関わるものだった。 タンパク質リン酸化 により 活性化する。 また、シナ
プス は、神経細胞 が 情報を伝える際の 中継点 となる場所だ。

 眠気 の実体は タンパク質 リン酸化 であり、シナプス を回復させることが 眠り
機能ではないか ーーー 研究を踏まえた 柳沢さん たちの 仮説 だ。

 柳沢 さんは 1998年、脳内物質オレキシン を見つけた。 その後、オレキシン
の 欠乏が 居眠り病 の「 ナルコレプシー 」の原因と分かり、睡眠研究 に大きく 舵 を切
った。

 座右の銘 は「 真実 は 仮説 よりも 奇 なり 」。 当初、オレキシン は 食欲 の 抑制 に
関わると予測したが、覚醒 の 維持 を担うという予想外の結果となった。 「 目の前にあ
るデータ( 真実 )より 仮説 を上に置いてはならない 」と 自戒する。

 睡眠不足認知機能 の 低下 を招くばかりか、健康 に様々な 悪影響 を及ぼす。

 柳沢 さんによれば、私たちに必要な 睡眠時間 は 6~8 時間程度。 自身 も、午前 0
時から 7 時まで 床の上 にいるようにしているそうだ。 深く 長 く 眠 る 能力 は 霊長類
の中でも ヒト に 特有 で、これが の 発達 も促したと考えている。

 蒸し暑い 夏 の 安眠法 は?
 ① 平日 も 休日 も 同じ時間 に寝て起きる  ② 寝室 を 暗く静かで 適温 に保つ ーーー が
ポイントで、「 クーラーは 体 に 悪いは 都市伝説 」と 柳沢さん。

 日本人 の 平均 睡眠時間 は 世界 最短レベル で、睡眠不足 による 経済損失 は約 15 兆
円との 試算 もある。 睡眠研究 の 効果 は 目覚ましいと言えそうだ。

                新聞記事 ” 今どきサイエンス ” 鴨志田公男  より 転載