加齢 に伴って 筋肉 が衰えることを サルコペニア( 加齢性筋肉減少症 )と呼ぶ。 予
防 には 良質の タンパク質 摂取 が勧められているが、それが サプリメント で 可能かは、
よく理解されていない。

 そんな中、カナダ・マクマスター大のスチュアート・フィリップス博士 らの 研究チー
ムは、乳清タンパク質 の サプリメント 摂取 では サルコペニア を防げなかったが、回復
期 には タンパク質 合成 を促して 筋肉量 を増やす 作用 があることを明らかにした。

 健常 で 高齢 の 男女 31人を 2 群に分け、第 1 群には 標準カロリー食( 約 2500㌔㌍ )
を 1 週間 摂取させた後、3 週間の カロリー制限食( 約 2000㌔㌍ を1週間、約 1400㌔㌍
を 2 週間 )に 乳清タンパク質 の サプリメント 1 日 60㌘ 摂取 と 運動制限 を追加。

 回復期 の 1 週間には 標準食( 約 2300㌔㌍  )に 乳清タンパク質 の サプリメント 1 日
60㌘ 摂取、運動 を指導した。

 一方、第 2 群 には 乳清タンパク質 の代わりに コラーゲンペプチド( タンパク質 の 一
つの コラーゲン を更に分解したもの )の 1 日 60㌘ 摂取 を 指導。 試験前後 で 筋肉量
測定、筋肉生検、血液採取 を行い、筋肉量 変化 と 筋肉 における タンパク質 合成 を 比
較・検討 した。

 その結果、両群 とも カロリー制限食 摂取後 に 下肢 の 筋肉量 が有意に 減少。 タン
パク質 の サプリメント 摂取 では カロリー制限運動不足 による 高齢期 の 筋肉量 減
少 を 防げないと分かった。

 一方で 回復期 には、乳清タンパク質 群 では 明らかな 筋肉量 の 回復 を認めたが、
ラーゲンペプチド 群 では 十分な 回復 が 確認 できなかった。 フィリップス博士 は、
回復期 の 筋肉 の タンパク質 合成 には、摂取する タンパク質 の「 」が 重要である
点 を 指摘する。

 高齢期 の 活動性維持 のためにも、食事 の 摂取カロリー栄養 バランス を 考慮し、
定期的 な 運動 を 心がけたい。
                    (白澤卓二・お茶の水健康長寿クリニック院長)
            
                                       新聞コラム Dr. 白澤 ” 100 歳への道 ” より