インフルエンザ 予防効果も
 炭水化物 を厳しく 制限し、カロリー の大半を 脂肪 で 摂取 しようという「 ケトン食
は、てんかん の 治療食 として 米国 で 安全に 臨床 応用 されてきた ダイエット法 で あ
る 。 最近では 減量 効果 や 認知 機能 の 改善 効果 、ガン の 予防 効果 、アスリート の
パフォーマンス 向上 効果 などで 普及 している。

 特に ココナツ オイル などの MCT中鎖 脂肪酸オイル を用いた ケ トン食 は、「 ア
ルツハイマー 病 が 劇的 に 改善した! 」( 2013年、SB クリエイティブ刊 )で 紹介
されてから 日本 でも 普及し、ココナツ オイル を 食用油 として、或は コーヒー に 混ぜ
て、認知症 の 予防 や 認知 機能 の 改善 目的 で 使っている人 も 多いと 思う 。

 ケトン食 を 始めると、血中 に 出現 するのが ケトン体 。 グルコース に代わる 代替
エネルギー 源 として 注目 されていたが 、最近の 研究 で 神経 細胞 に 直接 作用し 、認
知 機能 を 向上 させる 遺伝子 の 発現 を 誘導 することが 明らかに なった 。

 そんな中、米国 エール大 医学部 の 岩崎 明子 博士 らの 研究チーム が 、ケトン食
インフルエンザ に対する 予防 効果 があることを 報告 した 。 研究チーム は マウス に
ケトン食 を 与えた後 、インフルエンザ ウイルス に 感染 させたところ 、インフルエン
による 死亡率 が 普通の 餌 を 与えられた マウス より 有意 に低かった 。

 研究チーム が を 調べると 、ケトン食 を 与えられた マウス の ガンマ・デル
タ T 細胞 が 増加 していて 、感染 を 防御 していることが 分かった 。 ガンマ・デルタ
T 細胞 とは 、細菌 感染 、ウイルス 感染 や 細胞 の ガン化 に伴う ストレス に 反応 して
活性化 される T 細胞 で 、皮膚 、腸管 や 肺胞 で 感染 バリアー としての 役割 を 果た
している 。

 インフルエンザ の 流行期 に ワクチン を 接種 していないのに 感染 しない人 もいる 。
これまで インフルエンザ に かかりにくい人 がどんな 体質 を持っている かに 関しては 、
必ずしも 詳細 には 理解 されていなかった 。 今回の 論文 は 、食事 による 体質 改善
により 予防 効果 が 得られることを 示している 。

 流行期 になったら 、糖質 の 摂取量 を 制限し 、積極的 に ココナツ オイルMCT オ
イル を 使うことで 、感染 防御 能力 を上げ 、免疫 機能 を 保つ ことが 重要 だろう  。

 ともあれ、ケトン食 の 、高齢期 の 生活 の 質 を 保つための 食事法 としての 重要性
が 確認 されたといえる。
                   
                  (白澤卓二・お茶の水健康長寿クリニック院長)

            新聞コラム Dr. 白澤 ” 100 歳への道 ” より