もともと 間食 とは 、毎日の 定期的 な 食事 の間にとる 補助的な 軽食 を指す 。 日
本 では 、1 日に 朝食 と 夕食 の 2 食 だった 江戸時代 の 中頃 までは 、昼 や 夜 に 食べ
ていた 食事 を 間食 と呼んでいたが 、以降は 1 日 3 食 に なった とされ 、午後 3 時 の
スナック や 夜食 を 間食 と 呼んでいる 。
 
 本コラム でも 紹介 したように、現代人 の 間食 の 多くが ポテト チップス などの スナ
ック 菓子 や クッキー 、アイスクリーム などの「 超 加工食品 」 。 本来は 調理 に 不要
な 香料 や 乳化剤 、人工 甘味料 などを多く 使用 した 食品 をこう 呼ぶ 。

 そして 多くの 現代人 は 超 加工食品清涼 飲料水 から 多量 の 添加 糖 を 摂取 して
いる 。 間食 で 摂取 される 肥満 の 発症 には 直接的 な 関連性 があるが 、「 太
ると 分かっていても 止められない 」が スナック 菓子 なのだ 。

 それでは 、人 はどうして スナック 菓子 などの 間食 を 止められない のだろうか 。
米国 の バージニア大学 生物 学科 の アリ・ギュラー博士 らの 研究チーム は 、ドーパ
ミン という 脳内 物質 が 間食 を止められない 理由 の 一つ であることを  明らか にして
いる 。

 研究チーム は ネズミ を 使った 実験 で 、脳 の「 視交叉 上核 」と 呼ばれる 神経 の
ドーパミン 受容体 を 欠損 すると 、ネズミ は スナック 菓子 に 見向き もせずに 間食
しないで 肥満 になることはないが 、遺伝子 欠損 を 修復 して ドーパミン 受容体 を 再
生 すると 、ネズミ は 間食 を始め 、肥満 を 発症 することを 突き止めた 。

 この 視交叉 上核 は 、概日リズム( 生体 に備わる 24 時間のリズム )や 細胞 代謝 、
食欲 の 調節 などで 中心的な 役割 を果たす 。 このため 、スナック菓子 に 含まれる
添加 糖 や 小麦 に含まれる グルテン が 脳 の 報酬( 欲求 が満たされることによる 快感 )
を 刺激 すると ドーパミン が 分泌 される 。  

 分泌 された ドーパミン視交叉 上核 ドーパミン 受容体 に 作用 すると 食欲 中枢
が 刺激 され 食事 の タイミング の 制御 も 出来なくなる 。

 通常の 食事 で 摂取 した エネルギー が 体 の 代謝 に 使われやすいのに 対し 、間食
では 脂肪 細胞 に エネルギー源 として 蓄積 されやすい 摂食 の タイミング が 肥満
糖尿病 の 発症 に 関与 すると ギュラー博士 は 考察する 。

 また 博士 は 、果物 や 穀物 などを 使った 軽食 を食べていた 50 年ほど 前 には 、
糖尿病 の 問題 はなかったとも 強調 している。

 私も 、間食 には 果物 、穀物 や ミックス ナッツ を お薦め している。

                                                                   (白澤卓二・お茶の水健康長寿クリニック院長)

            新聞コラム Dr. 白澤  ” 100 歳への道 ” より