摂取量多いと発症リスク減
 フラボノイド の 摂取量 が多いと 全死亡率、心臓病 による 死亡率、ガン による 死
亡率 が 低くなることは、以前に 本コラム で 紹介した。 フラボノイド は 柑橘類 や
お茶 に含まれる ポリフェノール の 一種で オレンジ、リンゴ、ブルーベリー、ブロッ
コリー や 日本茶 で 摂取 できる。

  その フラボノイド の 摂取量 が少ない 高齢者 は、摂取量 が多い 高齢者 に比べて 約
2 倍 も 認知症 を 発症する リスク が 高い ことが 分かった。 米国 農務省 人類 栄養
研究 センター の エスラ・シシュタール 博士 らの 研究 チーム による 報告 で 明らかに
なったのだ。

 研究 チームは 米国 で行われた 大規模 疫学 研究「 フラミンガム 心臓 研究 コホート」
に 参加した 2801 人の 高齢者 を対象に 平均 19.7 年の 追跡 調査 を行い、食事 での フラ
ボノイド の 摂取量 と 認知症 の 発症 との 関連性 を 調べた。 その結果、調査 期間中
に 193 人が 認知症 を 発症し、そのうち 158 人が アルツハイマー病 と 診断 された。

 研究 チームは 食事 の 栄養 調査 から フラボノイド の 摂取量 で 対象群 を 4 群に分け
た。  最も 摂取量 の 少なかった 群 と 比較 すると、フラボノイド の 中でも フラボノー
ル という ポリフェノール の 最も 多かった 群 の 認知症 の 発症 リスク は 46% も 低い
ことが分かった。

  更に アントシアニン という ポリフェノール に 注目すると、高摂取群 の 認知症 発症
リスク は 76% も 低くなって いたという。 アルツハイマー 病 でも 発症 リスク は フラ
ボノール 高摂取群 で 50% 、アントシアニン 高摂取群 で 80% も 低い ことも 判明した。

 フラボノール は 黄色 の フラボノイド の一種で、多くの 果実 や 野菜 に 含まれている。
アントシアニン は ブルーベリー、アサイー、イチゴ、リンゴ、シソ や ブドウ に 含まれ
る。 中性 では 紫色、酸性 になると 赤色、アルカリ 条件下 では 青色 と 変色 する 色素
成分 で、果実 の 色 が 成熟 とともに 変化 することに 関係 している。

 食材 は 色 とりどりの 野菜 や 果実 を 使うように 栄養学 で 学んできたが、さまざまな
アントシアニン や フラボノイド を 摂取 するためには 理 に かなって いたようだ。

 アントシアニン はこれまでも 視力 回復、動脈 硬化 の 予防、ガン の 予防 などに 効果
的 だと 言われてきた。 今回 の 研究 により、高齢期 の 認知 機能 を 保つ ことや 認知症
の 予防 に 役立つ という 健康 効果 が 更に 加わったようだ。
 
                                                      (白澤卓二・お茶の水健康長寿クリニック院長)

              新聞コラム  Dr. 白澤 ” 100 歳 への道 ” より