中等度 の 飲酒  機能 維持 に 効果
 昔 から「 酒 は 百薬 の 長 」と 言われ、適量 の お酒 は 健康 に 良い と 言われてい
る。 本 コラム でも これまでに、赤 ワイン に 含まれ ている ポリフェノール が 長寿
遺伝子 を 活性化 する 研究 や 認知症 の 予防 効果 を 示唆 する 論文 などを 紹介 して
きた。

 とは 言え、どの 程度 の お酒 が 中高 齢期 の認知 機能 を 保つ のに 最適 な 量 なの
か、必ず しも 詳細 には 理解 されて いなかった。

 そうした 中、米国 ジョージア 大学 公衆 衛生学 の チャン ウェイ・リ 博士 らの 研究
チーム の 報告 が 話題 である。 女性 なら 週に 8 ドリンク 未満、男性 なら 週 に15
ドリンク 未満 の 中等度 の 飲酒 は、全く 飲酒 を しないよりも 認知 機能 が 維持 され
る という のだ。

 1ドリンク は アルコール に 換算 して 14 ㌘ に 相当 するため、リ 博士 の 調査 研
究 では、例えば 350 ㍉㍑ の 缶 ビール の 場合 は 350 × 5% =17.5 ㌘ で 1.
25 ドリンク、ワイン 1 杯 90 ㍉㍑ は 90 × 12% =10.8 ㌘ で 0.77 ドリ
ンク と 計算 された。

 研究 チームは、米国 で 行われた 健康 退職 研究( HRS )に 参加 した 1 万 9887
 人( 平均 年齢 61.8歳  )の 成人 男女 を 対象 に、お酒 の 摂取量 と 認知 機能 との
 関連性 を 平均 9.1 年 にわたり 追跡 調査 した。 認知 機能 は 精神 状態、単語 想起
能力 、語彙 能力 を 2 年毎 に 評価 し、その 低下 速度 を 推定 した。

 その結果、中等度 に お酒 を 摂取 している 群( 女性で週に 8 ドリンク未満、男性で
15ドリンク未満 )の 低下 リスク は、全く お酒 を 飲まない 群 に 比較 して、総合 評
価 として 認知 機能 が 34%、精神 状態 が 29%、単語 想起 能力 が 26%、語彙 能
力 が 36%、何れも 低い ことが 分かった。

 一方で 飲酒量 が 多い群 は 高血圧 や 脳卒中 の リスク の 上昇 と ともに 認知 機能 の
低下 リスク が 認められ、中高 齢期 の 認知 機能 を 維持 するためには 週に 10~14
ドリンク が 最も リスク を 抑える ことが 分かった。

 適量 の お酒 が 脳 の 認知 機能 に 与える メカニズム は 不明 だが、お酒 に 認知 機能
の 維持 に 必要 な 神経 栄養 因子 の 分泌 を 促進 させる 効果 が ある のではないかと リ
博士 は 考察 する。

 いずれにせよ、お酒 の 飲み 過ぎ は 健康 に 良く ないが、晩酌 を 楽しむ には 1 週間
の 適量 を 考えながら「 休肝日 」を もうけるのが 中高 齢期 の 認知 機能 を 保つ ために
重要 な ポイント になりそうだ。

                                                              (白澤卓二・お茶の水健康長寿クリニック院長)

              新聞コラム Dr. 白澤 ” 100 歳への道 ” より