家庭 で 育まれる 生活様式 が 影響
 寿命 を 決める 要因 は「 遺伝 」が 25 % で、残り の 75 % は「 環境 」で ある こと
は、既に 一卵性 双生児 の 寿命 研究 から 明らか に なっている。 100 歳 以上 の 寿命
を 全う  した 人 を「 百寿者 」( 英語 では センテナリアン )と 呼ぶ が、それでは 百
寿者 に 特徴的 な 環境 要因 や、実際 の 生活 環境 は どうなのか。

 日本 は 世界 有数 の 長寿国 の 一つで、中でも 沖縄県 は 土地 の 伝統 料理 で 使われ
る ゴーヤー などの 野菜、豚肉 や 魚 などの 食材 が「 長寿食 」として 注目 されている。 
   半面、若い 世代 の 食生活 が 欧米化 する 中で 平均 寿命 が 低下 して「 沖縄 クライシ
ス 」と 呼ばれ、伝統的 食生活 や ライフ スタイル が 健康 長寿 に 重要 で あると 再認
識 されている。

 そんな中、米国 ワシントン 州立 大学 の 栄養学 の オファー・アムラム 博士 らの 研
究 が 注目 されている。 100 歳 まで 生きる「 百寿者 」に 特徴的 な 生活 環境 とは、
近隣 を 歩き やすく、社会 経済 状態 が 良く、就労 世代 の 人口 割合 の 多い 地域 が
長寿 に 関連 している 要因 である と いうのだ。

 研究 チーム は 2011 年 から 15 年 の 間 に 75 歳 以上 で 死亡 した 14 万 4665人 の
ワシントン 州 在住 の 高齢者 を 対象 に、居住地、性別、人種、学歴、婚姻 状態、教
育歴 に 関して、75 ~ 99 歳 で 死亡 した 群( 14万1967人, 98.1% )と 100 歳 以上
で 死亡 した 群( 2698人、1.8% )を 比較 検討 した。

 その 結果、百寿者 は 先述 の 通り、近隣 を 歩き やすく、経済 状態 が 良く、就労
世代 の 割合 が 高い 地区 に 住む 率 が 有意 に 高い ことが 分かった。  更に、百寿
者 には 結婚 している 人 より、夫 に 先立たれた 妻、離婚 したが 再婚 しなかった 人、
独身者 が 多い 傾向 が みられた。

 意外 にも 今回 の 調査 では、教育歴 に 関しては、「 高卒 以上 」と 回答 した 人  の
割合 が 小さい という 傾向 が 示された というが、高卒 以上 が 30 % しか いなかった
対象 年齢 の 時代 背景 を 考慮 すると、健康 長寿 に 関連 する ライフ スタイル が 家庭
教育 の中 で 育まれ ていた 可能性 がある、と 博士 は 指摘 している。 また、夫 に 先
立たれた 妻 や 独身者 に 関しては、生活 が 自立 している 点 を 強調 する。

 米国 の ワシントン 州 で 行われた 今回 の 調査 ではあるが、ウォーキング、ワーキン
グ( 生涯現役 )、経済的 自立、生活 自立 などの 要因 は、日本 の 高齢者 にも 共通 す
るもの として 注目 したい。

                 (白澤卓二・お茶の水健康長寿クリニック院長)

        
            新聞コラム Dr. 白澤 ” 100 歳への道 ” より