過剰 摂取 で バリアー 機能 に 障害 
 果糖 は フルーツ、蜂蜜、ベリー 類 に 含まれる 単 糖質 だが、砂糖 の 主 成分 は グ
ルコース と 果糖 から 構成 される ショ 糖( 二糖類 )だ。 グルコース が 血糖 を 上
昇 させるため、砂糖 の 摂取量 が 増加 することは 2 型 糖尿病 や 肥満 の 原因 になる
と 考え られている。

 一方、果糖 は 血糖 を 上昇 させないが、過剰 に 摂取 すれば 脂肪 肝 を もたらすこ
とは 知られ ていた。 とは 言え、脂肪 肝 を 起こす と 肝臓 に 炎症 が 起き、慢性 炎
症 が 肝臓 ガン を 引き 起こす 原因 が 詳細 に 理解 されて きたとは 言い がたい。

 そこで 注目 すべきは、米国 の カリフォルニア 大学 医学部 サンディエゴ 校 の 薬理
学 の ジェレナ・トドリック 博士 らの 研究 で ある。

 トドリック 博士 らは、果糖 の 過剰 摂取 が 腸管 上皮 の バリアー 機能 に 障害 を 起
こすことで、腸内 細菌 の 内 毒素 が 肝臓 に ある 炎症 細胞 を 活性化 させ、こうした
幹 細胞 の 病的 代謝 に よって 中性 脂肪 が 合成 される ことを 明らか に した。 研究
チーム は また、その 慢性 炎症 が 続く と 肝臓 ガン の 発症 に つながる ことも 突き 止
め た。

 ヒト の 腸 には 元々、細菌 叢 が 常在 して 健康 に 良い 栄養素 や、健康 を 害する 内
毒素 を 分泌 している。 しかし、腸管 の 上皮 細胞 間 には タイト 結合 と いう 隣り 合
う 上皮 細胞 をつなぐ 構造 が あり、内 毒素 や 未消化 の 物質 は 腸管 の 外に 漏れ ない
ように なっている。

 最近 の 研究 で、小麦 の グルテン や 牛乳 の カゼイン に 対する 食物 アレルギー 抗
体 が 腸管 上皮 の タイト 結合 の 構成 成分 を 攻撃 すると リーキーガット 症候群( 腸
漏れ 症候群 )を 起こし、認知 機能 障害 や 自閉症 などを 発症 する 機序 が 明らかに
なって いる。

 私 の クリニック では グルテン 抗体、カゼイン 抗体 が 陽性 の 認知症 の 症例 も 多
い。  だが、これらの 抗体 が 陰性 ながら リーキーガット 症候群 を 併発 している ケー
ス も 多数 経験 して いる。 グルテン や カゼイン 以外 の 食品 成分 が リーキーガット
症候群 を 起こして いる のでは と 疑って いたが、果糖 は その 原因 食材 の 一つ かも
 しれない。
 
  実際、超 加工 食品 と 呼ばれる 袋入り スナック 菓子 や 炭酸飲料、濃縮 した 果汁 飲
料 などには 大量 の 果糖 が 含まれ、認知 機能 が 低下 した 高齢者 が たくさん 摂取 し
て いる 事 も 確か だ。

 高齢期 の 認知 機能 を 保つ ため にも、スナック 菓子 などの 超 加工 食品 を 控え、
果物 は 生 で 摂取 し、腸管 の バリアー 機能 を 保つ ことが 重要 だろう。 

                (白澤卓二・お茶の水健康長寿クリニック院長)

          新聞コラム Dr. 白澤 ” 100 歳への道 ” より