脳 の 萎縮 は 65 歳 以上 なら、誰 でも 起きる
 
熱中症 の 原因 が 水分 不足 にある ことは スンナリ 受け 入れられる のに、認知
症 の 主要因 が 水分 不足 で あること に ついては、「 にわかには 信じ がたい 」と
いった 表情 を 示される ことが 少なく ありません。

 背景 には「 認知症 は 脳 の 病気 である 」との 考え方 が、広く 根付いて いるこ
とが あります。

 「 脳  が萎縮 する 」「 脳 に 異常 物質 が 蓄積 される 」から 認知症 に なる とい
うのは 一般的 に 知られて いることです。 即ち 正常 に 働ける 脳 の 範囲 が 少なく
なり、おかしな 状態 や 行動 になる という 論理 です。

 現在 の 医学的 な 認知症 治療 は、この 脳 中心 の 考え方 で 進められて います。
具体的 には 脳細胞 を 正常化 するため の 薬 の 開発 や 投与 ですが、それらが 大き
な 治療 効果 を あげているか といえば 首 を かしげざる を 得ません。

 むしろ 認知症 治療薬 を 飲む ことで、益々 怒りっぽく なった、意識 レベル が
急激 に 低下 し、日がな 一日 朦朧 として いる といった 声 の 方 が よく 聞こえて
きます。


 勿論、脳 の 状態 と 認知症 が 何らかの 関係 を 持って いることは 間違い ありま
せん。
 ただし、あくまでも 脳 の 状態 は、認知症 の 一つの 要因 に 過ぎない のです。
 実際、脳 に 異常 物質 が 溜まる から 認知症 になる という 説 も、今 の ところ
「 おそらく そうだろう 」と 言う 程度 で、別 の 説 も 出て きている くらい です。

 例えば、高血圧 一つ とっても、この 病気 を「 血管 と 血液 の 病気 だ 」と 言っ
て しまって よい ので しょうか? 実際 には、運動 不足 や 食事、ストレス など
も 必ず 関係 して いる はず です。 ですから、高血圧 には、薬 だけ でなく、運
動 しよう とか 食事 制限 しよう とか 色々な 対策 が 出て きます。

 認知症 も 同様で、全ての 原因 が 脳 にある として しまうと、認知症 を 見 誤ら
せる ことに なり、本人 も 家族 も 辛く 苦しい 思いを 続ける ことにしか なりませ
ん。

 現在、脳 の 老化 を 多角的 に 調査 する ための 疫学 研究 としては、1986 年 か
ら 修道女 たち の 協力 を 得て 続けられて いる 米国 ケンタッキー 大学 の「 ナン・
スタディ 」が あります。 大規模 な 脳 研究 として 大変 有名 です。

 ここでは 脳 が 小さく 萎縮 し、異常 タンパク が 大量 に 沈着 した 典型的 な ア
ルツハイマー 型 脳 で あったにも かかわらず、最後 まで 知的 能力 が 保たれ、修
道院 の 仕事 を キチン と こなして いた シスター たち の ケース が 報告 されて い
ます。
 
 有名 なのは 101 歳 まで 生きた シスター・メアリー の ケース です が、他 にも
同じ ような シスター が 存在 して いる の です。

 この 事実 一つ とっても、脳 の 萎縮 や 異常 タンパク の 蓄積 だけが、唯一 の
 認知症 の 原因 とする のは 乱暴 である ことを 理解 して いただける でしょう。


   竹内孝仁 ” ボケの8割は「水・便・メシ・運動」で治る ” より